要 約
2006年5月,埼玉県内の鳩舎で,飼養する全150羽が,年齢に関係なく下痢,沈鬱を示し,25羽が死亡した.このうち2羽を病性鑑定した結果,検査所見はほぼ共通していた.肉眼的に,肝臓に多発性黄白色病巣,F嚢に膿瘍がみられた.組織学的に,核内封入体を伴う多発性の壊死巣が肝臓,脳,気管,気管支および膵臓に認められた.免疫組織化学的に,抗Salmonella O4群陽性桿菌がF嚢と肝臓にみられた.超微形態学的に,肝細胞にヘルペスウイルス粒子が確認された.肝臓,脳および気管・肺からColumbid herpesvirus 1(accession no. AB426112),さらに,肝臓からは,Salmonella enterica serovar Typhimurium var. Copenhagen definitive phage type(DT)99も分離された.本症例は,Columbid herpesvirus 1とS. Typhimuriumによる致死性の全身感染症と診断された. ―キーワード:混合感染,Columbid herpesvirus 1,ハトヘルペスウイルス,鳩,Salmonella Typhimurium var. Copenhagen DT99.
------------------------------日獣会誌 61,957〜965(2008) |
† 連絡責任者: |
油井 武(埼玉県中央家畜保健衛生所) 〒331-0821 さいたま市北区別所町107-1 TEL 048-663-3071 FAX 048-666-8731 E-mail : a1065354@pref.saitama.lg.jp |
|