会報タイトル画像


意見(獣医学系大学生の声)

夢〜私がなすべきこと〜

宮地裕也 (鹿児島大学農学部獣医学科4年)

伊藤伸彦
 私は鹿児島大学農学部獣医学科4年生であるが,本稿では,今一度将来について考える機会をいただいたと思い,自分の夢について執筆させていただく.
 将来は小動物臨床に進み,ゆくゆくは開業したいと考えている.しかし,開業すればそれでいいというのではなく,確固たるホスピタリティーを提供できうる動物病院を設立することが私の夢である.
 なぜこのような夢を抱いたかというと,獣医師は診療提供のサービス業の最たる職業の一つであると考えるからだ.病気に悩まされている動物を治療することのみでいいと思う人もいるであろう.しかし,獣医師はその動物にかかわる人間(飼い主等)に対する,精神的な影響等についても配慮する必要がある.近年では,多くの世帯で犬・猫が飼育されており,一人暮らしや高齢者の飼育の増加により,ますます獣医師が必要とされるとともに,一層動物を通じて社会に貢献する必要があると感じている.
 サービス業において,接客の要素が重要であることは言うまでもないが,獣医師は,高いコミュニケーション能力を求められると思う.動物病院に,愛情をこめた動物を連れてくる飼い主の精神的不安は大きいものであろう.その精神的不安を解きほぐし,飼い主に安心感を抱かせる,獣医師のコミュニーケーション術は,おいそれと手にできるものではないと考える.このことを強く感じてからは,家族・友人をはじめ,人と会話する際にどのようにすれば,自分の思いが相手に的確に受け入れられるかを考えるようになった.さらに,積極的に人と接し,新たな人間関係を作るように努めている.こうすることにより,自分のコミュニケーション能力が改善され,色々な人の考え方を理解することができ,自分の視野が広がっていくことを感じることができるようになってきている.
 私はこれまでたくさんの人に支えられてきた.その人たちに私ができることは,このようなコミュニケーション能力をもった,獣医師になり,自分の理想と理念を形にした病院を作り,自分の手でホスピタリティーにあふれた獣医療サービスを提供することである.そうすることにより,些細ではあろうが恩返しの気持ちを形にしたい.獣医師として私ができることに有限がないとさえ思える.このように考える今日では,自分の夢に続いているこの大学生活の一日・一秒が,愛しくてやまない時間に思える.この気持ちをいつまでも持続させ,残りの大学生活を全うしていきたい.




† 連絡責任者:
(担当教官)
小島敏之(鹿児島大学農学部獣医学科獣医繁殖学教室)
〒890-0065 鹿児島市郡元1-21-24
TEL 099-285-7111 FAX 099-285-8515
E-mail : tkojima@agri.kagoshima-u.ac.jp