要 約
2007年2月に管内ペンギン水族館において,屋内飼養ジェンツーペンギン18羽中2羽(ペンギンA,B)が,元気消失,食欲不振,嘔吐および沈鬱の症状を示し,うちペンギンAが死亡.その他のペンギンには異常は認められなかった.X線検査では,ペンギンAの腹腔内に直径2mmの球状物3個が,ペンギンBには20個の球状物が認められた.死亡ペンギンAの剖検所見では,胃底部に軽度のびらんと金属粒が2個,腸管粘膜には充出血が認められた.原子吸光分光光度計によるペンギンAの肝臓中鉛濃度は13.3±0.21ppmで,ペンギンBの血清中鉛濃度は6.64ppmであった.また,金属粒はX線定性分析により鉛と判明した.その他の4羽の健康なペンギンの血清中平均鉛濃度は,0.007±0.003ppmであった.以上より本症例は鉛による中毒症と診断された. ―キーワード:鉛,ペンギン,中毒.
------------------------------日獣会誌 61,889〜892(2008) |
† 連絡責任者: |
藤井猪一郎(長崎県中央家畜保健衛生所) 〒854-0063 諫早市貝津町3118 TEL 0957-25-1331 FAX 0957-25-1332 E-mail : fujii-denirou@pref.nagasaki.lg.jp |
|