要 約
馬のMultisystemic Eosinophilic Epitheliotropic Disease(MEED)のわが国における初発例について報告する.症例馬はサラブレッド種の雄2歳で,食欲不振と疝痛症状を示して来院した.末梢血での好酸球増加はなく,軽度の低蛋白低アルブミンが認められ,γGTPは著増していた.内科治療では症状は改善されなかったので,探査的開腹手術を行ったところ,小腸の肥厚と漿膜面の炎症が認められた.術後2日目に胃潰瘍の穿孔による腹膜炎となり,安楽死とした.剖検では膵臓に白色結節が多数認められた.病理組織学的には,膵臓,肝臓,小腸,リンパ節(肝門,腸間膜)に好酸球およびリンパ球浸潤,線維増生が観察された.膵臓の白色結節は好酸球性肉芽腫形成であった.本症例は病理組織学所見に基づいてMEEDと診断された. ―キーワード:馬,全身多発性上皮組織親和性好酸球症(MEED).
------------------------------日獣会誌 61,858〜861(2008) |
† 連絡責任者: |
樋口 徹(日高地区農業共済組合家畜診療センター) 〒059-3105 日高郡新ひだか町三石東蓬莱200 TEL 0146-32-3111 FAX 0146-37-2005 E-mail : hig@cocoa.ocn.ne.jp |
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