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行政・獣医事

高病原性鳥インフルエンザの防疫対策の強化
(農林水産省消費・安全局長通知)


 高病原性鳥インフルエンザの韓国での流行,北海道,青森県及び秋田県での野鳥からのウイルスの分離の事情を踏まえ,農林水産省において発生予防対策の徹底及び監視体制の強化を図るため,農林水産省消費・安全局長通知が新たに定められ,本会に対し,内容了知の上,円滑な防疫対応の実施について協力要請がなされた.


20日獣発第165号
平成20年10月8日
地方獣医師会会長 各位
社団法人 日本獣医師会
会 長 山根義久
(公印及び契印の押印は省略)
高病原性鳥インフルエンザの防疫対策の強化
(農林水産省消費・安全局長通知)
 このことについて,平成20年9月29日付け20消安第7097号をもって農林水産省消費・安全局長から,別添写しのとおり通知がありましたので,貴会関係者に周知方お願いします.
 このたびの通知は,本年4月に韓国において高病原性鳥インフルエンザが全面的に流行し,また,4月から5月には,北海道,青森県及び秋田県において野鳥から,韓国で発生したものと非常に近縁なウイルスが分離されたこと等を踏まえ,[1]食料・農業・農村政策審議会家畜衛生部会家きん疾病小委員会では今後の防疫対応を検討し,本病の監視体制を見直し,防疫対策の強化が必要であることとされ,また,[2]環境省においても今後,野鳥のサーベイランスを強化することとされたところ,この円滑な実施には,関係部局が連携し,協力することが重要であることから,本病の発生予防措置の徹底及び監視体制の強化に万全を期すよう各都道府県知事あてに通知した旨,本会会員に周知を求めたものです.
 なお,本通知の施行に伴い,「高病原性鳥インフルエンザに係る今後の監視体制について」(平成17年10月14日付け17消安第7291号農林水産省消費・安全局長通知)は廃止された旨申し添えます.
 注)本通知は,日本獣医師会ホームページ(会員専用サイト)に掲載しました.


【別 添】
20消安第7097号
平成20年9月29日
社団法人 日本獣医師会会長 殿
農林水産省消費・安全局長
高病原性鳥インフルエンザの防疫対策の強化について
 このことについて,別添のとおり各都道府県知事あてに通知しましたので,御了知の上,円滑な防疫対策の実施につき御協力方お願いします.
 また,貴職におかれましては,家畜防疫の重要性を十分御理解の上,傘下会員各位等に対し周知されますとともに,適切な対応がなされるよう御指導方よろしくお願いします.


(別 添)
20消安第7097号
平成20年9月29日
都道府県知事 殿
農林水産省消費・安全局長
高病原性鳥インフルエンザの防疫対策の強化について
 高病原性鳥インフルエンザの防疫対策については,高病原性鳥インフルエンザに関する特定家畜伝染病防疫指針(平成16年11月18日農林水産大臣公表.以下「防疫指針」という.)により実施するもののほか,「高病原性鳥インフルエンザに係る今後の監視体制について」(平成17年10月14日付け17消安第7291号農林水産省消費・安全局長通知.以下「平成17年局長通知」という.)によりモニタリングの強化及び早期通報の徹底をお願いしてきたところです.
 このような中,本年4月には,韓国において高病原性鳥インフルエンザの全国的な流行があり,また,我が国においても,4月から5月には,北海道,青森県及び秋田県において野鳥から,韓国で発生したものと非常に近縁なウイルスが分離されました.このようなことを踏まえ,食料・農業・農村政策審議会家畜衛生部会家きん疾病小委員会において,今後の防疫対応について検討してきたところです.同委員会においては,依然として,諸外国での本病の発生が確認されているところであり,我が国へのウイルスの侵入リスクは高い状況であるとみられることから,本病の監視体制の見直しを行い,防疫対策を強化していくことが必要とされました.
 また,環境省においては,今後,野鳥のサーベイランスを強化することとしており,この円滑な実施に当たっては,関係部局間が連携し,協力していくことが重要と考えます.
 つきましては,今後は,下記事項に留意の上,本病の発生予防措置の徹底及び監視体制の強化に万全を期すようお願いします.
 なお,本通知の施行に伴い,平成17年局長通知を廃止しましたので,御了知願います.
  1. 飼養衛生管理の徹底等について
     本病の発生予防を図るため,野鳥等の野生生物の家きん飼育施設への侵入防止,農場出入口での消毒の徹底等の防疫指針第1の1「異常家きん等の通報」に掲げる飼養衛生管理基準の遵守及び異常発見時の早期通報を徹底すること.
  2. 危機管理体制の再点検について
     万一発生した際に,円滑な防疫措置を講じることができるよう,防疫指針第3の1「危機管理体制の構築」に沿った早期発見・早期通報等の危機管理体制の定期的な再点検を行うこと.
  3. 監視体制の強化について
    (1)モニタリング
     高病原性鳥インフルエンザが明確な臨床症状をもたらさない場合も想定し,監視体制を強化するため,防疫指針第3の3に規定するモニタリングに加え,別紙によるモニタリング(以下「強化モニタリング」という.)を行うこと.
    (2)報告徴求
     家きんの所有者が家きんの異常を発見した際の家畜保健衛生所への早期通報が最も重要であり,監視体制を強化するため,原則として100羽以上の家きんの所有者に対して家畜伝染病予防法(昭和26年法律第166号)第52条に基づき,別紙による報告徴求を実施すること.
  4. 野鳥のサーベイランスの強化について
     別添の野鳥サーベイランスへの協力依頼に基づき,地域の実情にあわせ,関係部局の連携の下,死亡野鳥の回収,検査等を円滑に実施すること.
(別 紙)
監視体制の強化について
 1 強化モニタリングの実施
(1)検査対象
 ア 検査対象農場
 家きん農場(原則として飼養羽数100羽以上)について,95%の信頼度で10%の感染を摘発できる数の検査農場を無作為で選定.その際,[1]サンプリングの偏りを排除するため,県内の全農場を飼養規模別(※)にグループ分けし,[2]各グループの農場に番号を付し,[3]各グループの戸数に応じて按分した検査農場数を乱数表を用い無作為に抽出(階層別抽出)すること.
(※)飼養規模は以下のとおりグループ分けする
I   100羽以上〜1,000羽未満
II  1,000羽以上〜10,000羽未満
III  10,000羽以上
 イ 検 体 数
 1農場当たり10羽以上(農場内で偏りのないよう選定)
 ウ 検査回数
 抽出した農場について少なくとも1年に1回実施
(2)検査週齢
 基本的に6週齢以上とし,より日齢の進んだ家きん
(3)検査方法
 臨床検査及び寒天ゲル内沈降反応による血清抗体検査.ただし,血清抗体検査で陽性が疑われる場合には,農林水産省消費・安全局動物衛生裸(以下「動物衛生課」という.)に連絡の上,直ちにウイルス分離検査を実施
(4)結果の報告
 四半期ごとのモニタリング結果を様式1(略)により取りまとめ,翌四半期の20日までに動物衛生課あてに報告すること.

2 報告徴求の対象の拡大
(1)報告徴求対象
 家きん農場(原則として飼養羽数100羽以上)
(2)報告徴求の内容
 報告徴求は,様式2(略)によること.また,通常の死亡率と異なる等本病の可能性を否定できない事態が生じた場合には,直ちにその旨を報告するよう家きんの所有者へ十分周知するとともに,異常について家きんの所有者から報告があった場合には動物衛生課あてに直ちに報告すること.