要 約
鹿児島県内のと畜場に搬入された健康豚580頭(58農場由来)のサルモネラ属菌およびSalmonella Typhimurium(ST)の保菌状況を調査した.27農場(46.6%),91頭(15.6%)からサルモネラが分離され,そのうち19農場(32.8%),51頭(8.8%)からSTが検出された.51頭の豚に由来するST51株の薬剤感受性を調査したところ,アンピシリン(A),クロラムフェニコール(C),ストレプトマイシン(S),スルファメトキサゾール(Su),テトラサイクリン(T)耐性が6株,ASSuT耐性が6株検出された.このうち5株はクラスIインテグロンの存在が示唆され,増幅パターンは3種類に分けられた.約1.0および1.2kbpの増幅産物保有4株は,フロルフェニコール耐性遺伝子(floR)およびファージ型DT104を標的とするPCRでも増幅が確認されたことからST DT104と推察された.いっぽう,DT104と異なる特徴を示す多剤耐性菌やフルオロキノロン系薬剤に耐性を示す菌株が検出されるなど,新たな耐性の広がりも示唆された.
―キーワード:Class I Integron,多剤耐性,豚腸管由来,S. Typhimurium.
------------------------------日獣会誌 61,805〜809(2008) |
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藤元英樹(鹿児島県鹿屋食肉衛生検査所)
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