要 約
馬の全身吸入麻酔下における,乳酸リンゲルと酢酸リンゲルの代謝機能に及ぼす影響を中心に比較検討した.供試動物として健康なサラブレッド種成馬7頭を用いた.鎮静・倒馬後,気管内挿管してハロタン・酸素の吸入麻酔にて3時間の維持を行った.輸液剤として酢酸リンゲルと乳酸リンゲルを10ml/kg/hrの投与速度で3時間静脈内輸液した.測定項目は,平均動脈血圧,血中乳酸濃度,動脈血pH,動脈血PaCO2,HCO3,麻酔スコアおよび覚醒スコアとした.血中乳酸濃度は酢酸リンゲル液に比較して乳酸リンゲル液で高値を示した.以上のことから馬の周術期の輸液としては,酸性物質である乳酸の蓄積の少ない酢酸リンゲルが有効と考えられた.
―キーワード:酢酸リンゲル,麻酔,馬.
------------------------------日獣会誌 61,777〜779(2008) |
† 連絡責任者: |
佐々木直樹(帯広畜産大学畜産学部獣医学科臨床獣医学研究部門予防獣医医療学分野馬外科学研究室)
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