要 約
急性膵炎と診断した7例の犬について,急性相蛋白であるC-反応性蛋白(CRP)およびα1-酸性糖蛋白(α1AG)の血漿濃度を測定した.初診時にすべての症例で血漿犬トリプシン様免疫反応物質は陽性を示し,CRP値は7例中4例で5.0mg/dl以上,α1AG値は7例中2例で500μg/ml以上の高値を示した.治療経過中にCRP値とα1AG値の両方が著しく上昇した症例のうち,1例が治療開始後3日目に死亡し,膵炎治療が長期化した2例ではCRP値とα1AG値の両方が異常高値で推移した.早期に回復した4例ではCRP値またはα1AG値のいずれか一方が早期に健常値に復する傾向がみられた.以上のことから,CRPとα1AGを経時的に測定することによって,犬急性膵炎の治療経過や予後の判定に役立つと考えられた.
―キーワード:α1-酸性糖蛋白,犬急性膵炎,C-反応性蛋白.
------------------------------日獣会誌 61,720〜724(2008) |
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森田泰典(森田動物病院)
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