要 約
慢性の狭窄性あるいは閉塞性外耳炎を伴った中耳炎の犬を対象として,外側鼓室胞骨切術を併用した全耳道切除術(TECABO)における術前の細菌培養検査の有用性を検討した.術前に垂直耳道から,術中に鼓室胞内からスワブを用いて材料を採取し,細菌培養および抗菌剤に対する感受性検査の結果について比較検討した.20耳中1耳以外は鼓室胞内から分離された菌種は同一耳の垂直耳道から分離された菌種の中に含まれていた.さらに,垂直耳道および鼓室胞内から同一菌種が分離された場合,両部位から採取された細菌が高い感受性を示す抗菌剤の種類には差がみられなかった.これらの結果より,TECABO実施前に耳道から分離された細菌の抗菌剤に対する感受性結果は,鼓室胞内から分離された細菌の感受性がわかるまでの間の抗菌剤選択に有意義な情報を与えると思われた.
―キーワード:細菌,慢性外耳炎,外側鼓室胞骨切術,中耳炎,全耳道切除.
------------------------------日獣会誌 61,639〜644(2008) |
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