要 約
乳牛の軽度な肢蹄疾患の発生状況を削蹄時に調査した.タイストール(TS)牛舎の有病率は後肢蹄の蹄球びらんが前肢蹄よりも高く,後肢外蹄の白帯病と蹄底出血が他の蹄より高かった.関節周囲炎は後肢が前肢よりも高かった.フリーストール(FS)牛舎では蹄球びらんの有病率が前後肢とも高く,白帯病と蹄底出血は後肢外蹄が他の蹄よりも高かった.多変量ロジスティック回帰分析にて軽度肢蹄疾患と関与の強い環境因子を抽出した結果,TS牛舎は敷料がないことが蹄球びらん,白帯病,蹄底出血の発生と関与し,牛床がふん尿によって湿潤することは蹄球びらん,白帯病と関与した.牛床が短く牛床とふん尿溝との間に段差があることは蹄底出血と関節周囲炎に,牛床と隔柵の上下間隔が狭いことは蹄底出血の発生に関与した.FS牛舎では,ふん尿による湿潤が蹄球びらん,白帯病,蹄底出血と関与した.
―キーワード:乳牛,肢蹄疾患,ロジスティック回帰分析,オッズ比,有病率.
------------------------------日獣会誌 61,617〜620(2008) |
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