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資 料

家畜衛生研修会(病性鑑定病理部門,2006)*†
における事例記録 ( I )

Proceedings of the Slide-Seminar Held by the Livestock Sanitation Study Group in 2006 Part I*†

(2007年8月22日受付・2007年10月31日受理)

 2006年度の家畜衛生研修会(病性鑑定病理部門)が,農林水産省消費・安全局動物衛生課の主催により,2006年11月28日から12月1日にかけて動物衛生研究所で開催された.今年度は44都道府県から44事例が提出された.本記録が家畜衛生業務や家畜の病気に対する理解の一助となれば幸いである.
 以下に,今年度提出事例の概要を述べる.

事 例 報 告
1 牛の側頭骨岩様部の炎症性骨膜性増殖を伴った化膿性肉芽腫性中耳炎
〔和田千雅(愛知県)〕
 黒毛和種,雄,165日齢,鑑定殺例.平成16年2月から5月にかけて,約1週齢で導入したET産子(和牛)の約半数が,導入直後に発熱,呼吸器症状,下痢などを呈し,導入した子牛の約2割で,斜頸が現れた.加療後,斜頸などの症状が改善しなかった1頭を病性鑑定に供した.導入子牛は約40頭で2台の哺乳ロボットを用いて群飼されていた.

2 鶏の大腿骨骨端軟骨における肥厚帯の肥厚
〔岡田綾子(鳥取県)〕
 USコブ種,性別不明,9日齢,鑑定殺例.2004年秋,ブロイラー飼育農場で雛の脚弱が発生した.4,5日齢頃から歩様異常,9日齢ではほとんどの雛が開脚等の脚弱症状を示した.給与飼料を変更したところ,10日後の立ち入り時には症状が改善されていた.同じ孵卵場から同時期孵化の雛が入った別の農場では発生が認められなかった.

3 鶏の腓腹筋腱,腱鞘におけるマクロファージ浸潤
〔加地雅也(熊本県)〕
 チャンキー種,雄,45日齢,鑑定殺例.32,000羽を飼養する農場で,2006年5月10日頃から3週齢の1群3,200羽で脚弱が認められ,5月29と30日の2日間で20羽が淘汰された.5月31日に2羽が病性鑑定に供された.

4 牛の潰瘍形成を伴う鼻鏡の層状び爛
〔高橋真紀(岩手県)〕
 ホルスタイン種,雌,8カ月齢,鑑定殺例.2005年10月19日の朝に,1酪農場の育成雌牛48頭中1頭に鼻鏡の乾燥がみられ,同皮膚領域の表層は同日午後に剥離し,罹患部は発赤していた.当該牛は軽度な発熱(39.0℃)および下痢を併発し,同日夕方に剖検された.同居牛に異常は観察されなかった.

 

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※詳しくは日本獣医師会雑誌Vol.61 No.6をご覧下さい。
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* (独)農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所
  (〒305-0856 つくば市観音台3-1-5)
† 連絡責任者: 木村久美子
((独)農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所 牛病理ユニット)
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