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原 著

Escherichia coliによる乳牛の甚急性乳房炎における
血清中および乳清中サイトカインの動態と臨床症状

久枝啓一1)   有馬春樹1)   園部隆久1)   那須正信1)  萩原克郎2)
桐沢力雄2)   岩井 浤2)   永幡 肇2)†

1)愛媛県農業共済組合連合会東予家畜診療所(〒799-1312 西条市大野379-1)
2)酪農学園大学獣医学部(〒069-8501 江別市文京台緑町582-1)

(2007年5月10日受付・2007年12月4日受理)

要   約

 Escherichia coliによる甚急性乳房炎牛および健康牛の血清中ならびに乳清中サイトカイン(IL-1β,IL-1ra,IL-6,IFN-γおよびTNF-α)濃度を測定し臨床症状との関連性を検討した.乳房炎牛群の初診時の血清中IL-1β,IL-6およびIFN-γ濃度は,健康牛群のそれより高値であった.初診時の乳清中サイトカイン濃度は,いずれも健康牛群のそれよりも高値を示したが,回復に伴い減少傾向が認められた.乳房炎牛群の初診時の血清中および乳清中IL-6濃度,乳清中IFN-γ濃度と臨床症状との間に相関性(それぞれP<0.05)を認めた.乳房炎牛群の初診時における血清中および乳清中サイトカイン濃度は,全身ならびに乳房の特徴的な病態の発現に関与しているものと示唆される.
―キーワード:サイトカイン,Escherichia coli,乳牛,甚急性乳房炎.

------------------------------日獣会誌 61,443〜448(2008)

 

† 連絡責任者: 永幡 肇(酪農学園大学獣医学部獣医学科獣医衛生学教室)
〒069-8501 江別市文京台緑町582-1
TEL 011-388-4739 FAX 011-387-5890
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