要 約
哺乳豚のIsospora suisによるコクシジウム病に対するトルトラズリルの有効性を野外で検討した.Isospora suisの重度浸潤が認められた3養豚場,計15頭の母豚から出生した0〜5日齢の哺乳豚153頭を同腹単位で1対1の割合で2群に分け,投薬群は試験薬剤トルトラズリルを20mg/kg単回強制経口投与した.無処置群では67.7%が発症したのに対して,投薬群ではIsospora suisによる発症は認められなかった.異常便の排泄頻度は,投薬群で27.1%,無処置群で82.4%と処置群が有意(P<0.05)に低かった.投薬後7〜14日の1日平均増体量は投与群229.87±63.45g,対照群195.16±77.02gで群間に有意差(P<0.05)が認められた.以上の結果から,哺乳豚にトルトラズリルを20mg/kg単回経口投与することは,投与後2週間にわたりコクシジウム病の発生の防御に有効であることが示された.
―キーワード:コクシジウム,下痢,Isospora suis,哺乳豚,Toltrazuril.
------------------------------日獣会誌 61,439〜442(2008) |
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島田隆男(千葉県農業共済組合連合会北部家畜診療所)
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