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地方会だより

夏休み公開講座「どうぶつのお医者さん」の開催

砂原和文(秋田県獣医師会会長)

先生写真 秋田県獣医師会の会員有志が実行委員会を結成し,今年で5回目となる夏休み公開講座「どうぶつのお医者さん」が8月4日(土)午後1時30分から,秋田市文化会館において開催された.
 子供たちが,獣医師の仕事を理解し,将来の進路決定に役立てくれればと願っての開催なため,秋田県獣医師会としても,その趣旨に賛同し,広報等で可能な限りのバックアップをさせていただいた.
 秋田竿燈祭りの2日目ということもあり,「参加者が少ないのでは」と心配したが,地元紙である秋田さきがけ新聞や朝日新聞が取り上げ,また,地元テレビ2社もスポットで告知したこと等により,22の学校・32名の子供たち(小学生6,中学生13,高校生11,大学生2)を含む90名が参加した.
子供たちの質問に回答するアドバイザー
子供たちの質問に回答するアドバイザー
(左から日本獣医師会 北村顧問,五十嵐前会長,山根会長) 
   
 最初に,県内で活躍している若手獣医師から「獣医師になったきっかけ,現在の仕事,将来の夢」等について話をいただき,アドバイザーとして迎えた日本獣医師会の山根義久会長,五十嵐幸男前会長,北村直人顧問からコメントをいただく形で進行した.
 まず,秋田県南部家畜保健衛生所の山田典子氏から,人のため食料として飼育されている家畜の存在,その家畜の病気の予防や対策等に携わっていることが話され,最後に「植物や動物の命を食事としていただき,自分が生かされていることに感謝の気持ちで一杯になる」と訴えられました.
 次に,秋田県動物管理センターの上田かおり氏から,安全な食品を提供するため行っている食肉衛生検査や食品監視指導業務,犬や猫の命と関わっている動物愛護管理業務への思い,そして「これから,人と動物それぞれ大切な命が,仲良く楽しく一緒に暮らせる社会づくりのために,架け橋となって頑張っていきたい」と抱負を語られた.
 最後に秋田市の御所野どうぶつ病院の高橋鶴美氏から,いろいろなことにチャレンジする中で出会った人々との関わり,その時々の思い,そして現在,小動物臨床の現場で感じている命の重さや責任の重さ,そして,病気が治癒した時の喜びと仕事のやりがいについて,ユーモアを交えながら子供たちに語りかけた.
 子供たちからは,「獣医師の仕事の内容を詳しく知りたい」「獣医師になって楽しいこと,大変なことは?」「獣医師になるためには,どのような勉強が必要か?」「獣医師になるためには,どれくらい大変か?」等の質問があった.
 その後,アドバイザーの方々から,講演への感想を含め子供たちからの質問に答える形でコメントをいただいた.
 山根会長は,「心臓外科を専門としているが,手術の時は逃げ出したくなる.結果によっては生命体を亡くしてしまうことになり,命の重さに押しつぶされそうになる.獣医師として責任があると自分に言い聞かせ,あきらめないで立ち向かうことにしている.その反面,手術が成功し,動物が治った時の喜びは格別で,生き甲斐を感ずる.」「獣医学部は難関なので,生徒諸君には,とにかく頑張って勉強してほしい.生物と英語は必須科目.」と話され,その他,動物看護士の現状や大学卒業後の進路状況等にも触れた後,「すばらしい感性を育てながら,夢を持ってチャレンジしてほしい.」と子供たちにエールを送られた.
 続いて,五十嵐前会長からは「獣医師である親の働く姿に感動し,自分も同じ道を歩んだ」「病んでいる動物を治すことの喜び,獣医学という技術によって社会貢献しているとの誇りがある」「牛乳,食肉,卵等動物タンパクを安全に供給するため,いろいろな場面で獣医師が活躍している.国の食品安全委員会の委員長も獣医師である.」「人の生命を守るため活躍しているのが獣医師」と90歳とは思えない若さで熱く語られた.
 さらに北村顧問からは,北海道の農家の長男であるご自身の生い立ちや動物を介しての家族とのエピソード,大学時代の学び,20年にわたる国会議員時代に心血を注いだ動物愛護管理法の改正について話された.「動物が好きで獣医師になったわけではないが,自分のできることを一所懸命やってきた」とのコメントが強く印象に残った.
 秋田高校3年生の男子生徒は「獣医学部は難関であることを実感したが,獣医師になるという気持ちを強く持って頑張りたい.」と話し,角館中学校3年生の男子生徒は「あらためて獣医師になりたいという気持ちが強くなった」と話してくれた.
 大変多忙の中,遠路・秋田までお越しいただいた山根会長,五十嵐前会長,北村顧問に心から感謝申し上げたい.

 


† 連絡責任者: 砂原和文(秋田県獣医師会)
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