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行事等報告

第3回日韓産業動物獣医学合同シンポジウムの概要

中尾敏彦(第3回日韓合同シンポジウム実行委員長・山口大学農学部教授)

先生写真 日韓に共通する,あるいは,それぞれの国に特有の産業動物獣医療の課題について,相互の理解を深め,それらの対策を検討することを目的とした,第3回日韓合同シンポジウムが,平成19年10月7日(日)に山口市で,平成19年度日本産業動物獣医学会(中国)主催の公開シンポジウム「日韓における産業動物の主要な疾病と対策」として開催された.これは,第1回の鹿児島(17年),第2回の韓国(18年)での合同シンポジウム(本誌第59巻第10号662〜663ページ)に続くものである.
中国地区学会懇親会に参加した韓国からの参加者第一陣.
中国地区学会懇親会に参加した韓国からの参加者第一陣.
前列右から,韓国牛病学会の金 明哲副会長(忠南大学教授),金 杜実務副会長(江原大学教授),宋 會洛会長,山口県獣早崎会長,山口大学古賀農学部長,他.後列左から,柳 一善総務理事(韓国畜産科学院),一人おいて浜名克己前鹿児島大学教授.
 韓国からは,韓国牛病学会の宋会長,金前会長,金実務副会長,柳常務理事等,14名が出席した.一行は,10月5日(金)に来日し,6日(土)は,山口県内の乳牛牧場等を視察した後,中国地区三学会の懇親会に出席し,中国地区会員と懇談した.また,本合同シンポジウムの産みの親でもある,濱名克巳前鹿児島大学教授も地区学会の第1日目から出席された.
 翌日の7日(日),午前中の産業動物獣医学会が終了した後,午後1時から合同シンポジウムが開催された.まず,岡村産業動物獣医学会地区学会長と韓国牛病学会 会長の挨拶があり,次いで,セッションソ「家畜の感染症の発生と対策」が行われた.講演は,ソウル大学獣医学部の劉 漢相助教授の「韓国における家畜の主な感染症と予防対策(Prevalence of major infectious diseases in farm animals in Korea)」と,山口大学農学部の前田健准教授の「日本における日本脳炎発生状況と防疫対策」の2題であった.続いて,セッションタ「乳牛の生産病と生産性向上」では,島根県農業共済連大谷拓郎獣医師による講演「西日本における乳牛の生産病とその対策」と,韓国農村振興庁畜産科学院柳 一善家畜衛生監による「韓国における乳牛の生産病とその対策(Production diseases in dairy cows in Korea)」が行われた.シンポジウムには,韓国から12名,日本からは,山口大学連合獣医学研究科の外国人学生等も含めて約40名が出席し,活発な質疑応答が行われた.そして,地区三学会を担当された山口県獣医師会の早崎峯夫会長の挨拶により,閉会となった.シンポジウム終了後,別の会場で,シンポジウム実行委員会主席の日韓獣医師交流懇親会が開催され,両国からの講師を交えて,和やかに歓談が行われた.
 一行は,翌日の朝,山口を発ち,夕方には韓国に帰国したが,柳常務理事から,合同シンポジウムや視察旅行等,十分に満足できる内容であったと感謝の連絡があった.
 第4回の合同シンポジウムは,来年,韓国で開催の予定であり,今後,日韓を始め,東アジアにおける産業動物獣医学の進展に寄与することが期待される.
 最後に,今回の合同シンポジウムの開催にあたり,種々支援,協力をいただいた山口県獣医師会と,協賛をいただいた,あすか製薬株式会社,川崎三鷹製薬株式会社,日本全薬工業株式会社,バイエルメデイカル株式会社,ファイザー株式会社の各社に深謝する.

 


† 連絡責任者: 中尾敏彦(山口大学農学部獣医学科家畜臨床繁殖学講座)
〒753-8515 山口市大字吉田1677-1
TEL・FAX 083-933-5935