要 約
軽度の食欲不振および易疲労性を認めた12歳齢のポメラニアンにおいて,貧血,高蛋白血症および低アルブミン血症を認め,血清蛋白電気泳動像では単クローン性γグロブリン(M蛋白)を疑う波形が得られた.免疫電気泳動によりM蛋白はIgMパラプロテインであることが確認された.IgMパラプロテインを認めたこと,脾臓に腫瘤を認めたこと,末梢血中にリンパ球数の増加ならびに異型リンパ球を認めなかったこと,骨融解像を認めなかったこと,また化学療法としてCOP療法を選択し,完全寛解を得ることができたことから原発性マクログロブリン血症が疑われた.4カ月後の再燃時には,塩酸ドキソルビシンおよびメルファランを投与し,完全寛解は得られなかったが血漿総蛋白濃度は低下し,比較的良好に推移したが初診から7カ月で死亡した.
―キーワード:犬,単クローン性γグロブリン血症,原発性マクログロブリン血症.
------------------------------日獣会誌 61,219〜222(2008) |
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