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短 報

上顎骨の歯原性嚢胞により鼻閉塞を認めた犬の1症例

高木 充1)  渡邊一弘1)†  森  崇1)  近藤みどり2)  村上麻美1)
柵木利昭1)  山添和明1)  工藤忠明1)

1)岐阜大学応用生物科学部(〒501-1193 岐阜市柳戸1-1)
2)岐阜県 開業(〒501-0417 本巣市屋井906-1)

(2007年2月2日受付・2007年7月2日受理)

要   約

 鼻閉塞を主訴に左上顎骨前臼歯部の膨隆がみられたシーズー(13歳齢,雌)のCT検査で,嚢胞と思われるX線透過像が認められ,これを外科的に摘出した.手術翌日には鼻閉塞は解消し,術後3カ月目のX線およびCT検査において再発は認められなかった.病理組織学的には口腔粘膜様の重層扁平上皮と鼻腔粘膜上皮様の線毛多列円柱上皮がみられ,臨床症状とCT所見から上顎骨前臼歯部の歯原性嚢胞と診断された.犬において,鼻出血や鼻閉塞の症状を示した場合,鼻腔内疾患以外にも,上顎骨に発生する嚢胞に起因することもあるため,鼻腔内検査と同時に口腔内検査が重要であると考えられた.
―キーワード:犬,鼻閉塞,歯原性嚢胞.

------------------------------日獣会誌 61,215〜218(2008)

 

† 連絡責任者: 渡邊一弘(岐阜大学応用生物科学部応用生物科学科獣医学講座臨床獣医学系獣医外科学研究室)
〒501-1193 岐阜市柳戸1-1
TEL ・FAX 058-293-2952 E-mail : nabechan@gifu-u.ac.jp