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原 著

周産期における微量ミネラル投与が乳牛の
疾病発生と繁殖成績に及ぼす影響

二階堂 聡1)†  草刈直仁2)  大滝忠利2)  田辺一志3)  遠谷良樹2)

1)北海道立畜産試験場(〒081-0038 上川郡新得町字新得西5線39)
2)北海道立根釧農業試験場(〒086-1135 標津郡中標津町旭ヶ丘7)
3)明治製菓(株) (〒060-0003 札幌市中央区北3条西11-2-3)

(2007年2月26日受付・2007年8月1日受理)

要   約

 妊娠末期の乳牛21頭を投与群11頭と対照群10頭に分け,投与群に分娩予定4週前から分娩8週後(+8週)まで微量ミネラル(Zn,Mn,CuおよびSe等)を含む製剤を50g/頭/日投与した.投与群では対照群よりも血清CuとZn濃度は有意に高く,分娩後のAST活性値は低かった(P<0.05).周産期疾病は対照群50%,投与群は18%に発生した.初回授精受胎率は対照群30%,投与群は64%であった.卵胞腫は対照群にのみ見られ(40%),その罹患率は+1週のCu欠乏牛で有意に(P<0.05)高かった.また乳房炎罹患率は+1週のCuとZn欠乏牛で有意に(P<0.05)高かった.以上より,周産期にCuとZnの摂取量不足を補うことで,周産期疾病や卵胞腫発生が減少し,繁殖成績が向上すると考えられた.
―キーワード:乳牛,周産期疾病,微量ミネラル,繁殖成績.

------------------------------日獣会誌 61,205〜209(2008)

 

† 連絡責任者: 二階堂 聡(北海道立畜産試験場基盤研究部感染予防科)
〒081-0038 上川郡新得町字新得西5線39
TEL 0156-64-5321 FAX 0156-64-6151
E-mail : snikaido@agri.pref.hokkaido.jp