要 約
妊娠末期の乳牛21頭を投与群11頭と対照群10頭に分け,投与群に分娩予定4週前から分娩8週後(+8週)まで微量ミネラル(Zn,Mn,CuおよびSe等)を含む製剤を50g/頭/日投与した.投与群では対照群よりも血清CuとZn濃度は有意に高く,分娩後のAST活性値は低かった(P<0.05).周産期疾病は対照群50%,投与群は18%に発生した.初回授精受胎率は対照群30%,投与群は64%であった.卵胞腫は対照群にのみ見られ(40%),その罹患率は+1週のCu欠乏牛で有意に(P<0.05)高かった.また乳房炎罹患率は+1週のCuとZn欠乏牛で有意に(P<0.05)高かった.以上より,周産期にCuとZnの摂取量不足を補うことで,周産期疾病や卵胞腫発生が減少し,繁殖成績が向上すると考えられた.
―キーワード:乳牛,周産期疾病,微量ミネラル,繁殖成績.
------------------------------日獣会誌 61,205〜209(2008) |
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