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短 報

回腸の網嚢孔エントラップメントによる
馬の急性腹症手術例

畠添 孝1)   藤木 誠2)   小松耕史2)   三角一浩2)†

1)日本軽種馬協会九州種馬場(〒899-8313 曽於郡大崎町野方3995)
2)鹿児島大学農学部(〒890-0065 鹿児島市郡元1-21-24)

(2006年12月14日受付・2007年5月25日受理)

要   約

 小腸絞扼による疝痛症状の馬を開腹手術した.拡張した空腸容積を減じ,盲腸から逆行性に小腸の体外露出を試みたが,暗黒色化した回腸以前を引き出せなかった.変色部の網嚢孔内嵌入を腹腔内で確認し,左―右方向の網嚢孔エントラップメントと診断した.小腸を減圧しながら,右から左へと,嵌頓を解除し空盲腸吻合を行った.麻酔時間4時間50分,麻酔終了後2時間で起立したが,その後8時間で死亡した.剖検では,網嚢孔を通過する大網の一部が確認された.小腸全域に出血を認め,エンドトキシンショックが示唆された.
―キーワード:開腹術,急性腹症,網嚢孔.

------------------------------日獣会誌 61,131〜135(2008)

 

† 連絡責任者: 三角一浩(鹿児島大学農学部獣医学科家畜外科学教室)
〒890-0065 鹿児島市郡元1-21-24
TEL 099-285-8731 FAX 099-285-8730 
E-mail : kmisumi@agri.kagoshima-u.ac.jp