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原 著

トルトラズリルの牛コクシジウム病に対する有効性および
安全性に関する臨床的検討

加藤敏英1)†  矢田谷 健2)  石崎孝久3)  伊藤 貢4)
小田憲司5)  平山紀夫5)

1)山形県農業共済組合連合会中央家畜診療所(〒990-2171 山形市大字七浦字北川原286-1)
2)栃木県 開業(〒329-1311 さくら市氏家町氏家3469-65)
3)千葉県農業共済組合連合会中央家畜診療所(〒299-0126 市原市天羽田736)
4)愛知県 開業(〒441-3502 田原市赤羽根町字石添55)
5)(財) 畜産生物科学安全研究所臨床試験室(〒229-1132 相模原市橋本台3-7-11)

(2007年3月2日受付・2007年6月6日受理)

要   約

 トルアジン誘導体であるトルトラズリルの牛コクシジウム病発症予防効果および安全性を調べることを目的に,168頭の子牛を用いて投与試験を実施した.その結果,有効性試験(n=134)では薬剤投与群(n=67)の発症率(0%)が無投与対照群(n=67)のそれ(38.8%)に比べ有意に低かった(P<0.01).また,薬剤投与群のオーシスト排泄率およびOPG値は投与後4週までは無投与対照群に比べ有意に低く(P<0.01),便性状や下痢便排泄率でも顕著な差が認められた.いっぽう,安全性試験(n=168)では薬剤投与群(n=84)と無投与対照群(n=84)でそれぞれ19.0%,26.2%の個体に呼吸器症状がみられたが,薬剤投与に起因する有害事象はみられなかった.以上のことから,トルトラズリル5%経口液は牛コクシジウム病発症を抑え,臨床的に有用性が高い薬剤であることがわかった.
―キーワード:牛コクシジウム病,オーシスト,トルトラズリル.

------------------------------日獣会誌 61,127〜130(2008)

 

† 連絡責任者: 加藤敏英(山形県農業共済組合連合会家畜診療研修所)
〒990-2171 山形市大字七浦字北川原286-1
TEL 023-684-5531 FAX 023-684-5538
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