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原 著

動物園動物の血清診断におけるプロテインGの有用性と
アジアゾウにおけるELISA法の確立

下 沢 健太郎    三 澤 尚 明

宮崎大学農学部(〒889-2192 宮崎市学園木花台西1-1)

(2006年11月20日受付・2007年5月24日受理)

要   約

 ELISA法は迅速・簡潔な感染症診断のスクリーニング法として有用な手法であるが,多くの動物園動物のELISA法は確立されていないのが現状である.本研究では,IgG結合蛋白質であるプロテインGがELISA診断に応用できるかを検討するため,動物園動物の血清とプロテインGとの結合性を調べた.その結果,強い結合性を示す動物種がいる一方,有袋目・ネコ科食肉目・アジアゾウなど低い反応性を示す種が認められた.このことからプロテインGはすべての動物園動物のELISA診断法に応用することができないことが示唆された.そこで,アジアゾウの血清からIgGを精製し,家兎免疫血清を作製してアジアゾウのIgGを検出できるELISA診断系を確立した.
―キーワード:アジアゾウ,ELISA,プロテインG,血清診断,動物園動物.

------------------------------日獣会誌 61,75〜78(2008)

 

† 連絡責任者: 三澤尚明(宮崎大学農学部獣医学科獣医公衆衛生学講座)
〒889-2192 宮崎市学園木花台西1-1
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