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原 著

ウイルス除去効果を示す天然素材カーボンシルク

白井淳資1),2)†   宮下正光3)   坂上万里子3)   中島健一4)
高林千幸4)   町井博明5)

1)(独) 農業・食品産業技術総合研究機構動物衛生研究所 人獣感染症研究チーム(〒187-0022 小平市上水本町6-20-1)
2)東京農工大学大学院共生科学技術研究院(〒183-8509 府中市幸町3-5-8)
3)(株) シナノケンシ(〒386-0498 上田市上丸子1078)
4)(独) 農業生物資源研究所 昆虫科学研究領域生活資材開発ユニット(〒394-0021 岡谷市郷田1-4-8)
5)(独) 農業生物資源研究所 研究企画調整室(〒305-8602 つくば市観音台2-1-2)

(2007年2月2日受付・2007年5月24日受理)

要   約

 絹布を約1000℃で炭化させたものをカーボンシルク(CS)といい,抗菌性を示すことが知られている.そのCSがウイルス除去効果を示すかどうかについて,エンベロープを有するウイルス3種類(豚伝染性胃腸炎ウイルス,オーエスキー病ウイルス,水胞性口炎ウイルス)およびエンベロープのないウイルス2種類(口蹄疫ウイルス(FMDV),豚水胞病ウイルス)を用いて試験を行った.その結果CSはエンベロープを有する3種類のウイルスとFMDVに対して有意に感染価を減少させた.この作用はCSの増量とともに増強され,反応時間や温度による影響をあまり受けず,感作を繰り返しても認められた.この作用は,CS表面に多数存在する陽性に荷電されたN基に陰性荷電のウイルス粒子が吸着されて現れるものと考えられた.
―ウイルス除去効果,カーボンシルク.

------------------------------日獣会誌 61,48〜54(2008)

 

† 連絡責任者: 白井淳資(東京農工大学農学部獣医学科獣医伝染病学講座)
〒183-8509 府中市幸町3-5-8
TEL ・FAX 042-367-5780 E-mail : jshirai@cc.tuat.ac.jp