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原 著

牛ウイルス性下痢病および牛伝染性鼻気管炎に対する
市販混合ワクチン接種プログラムの
中和抗体応答による評価

伊藤麻子1)   迫田義博1)   亀山健一郎1)   山崎幸夫2)
臼井 章2)   喜田 宏1),3)†

1)北海道大学大学院獣医学研究科(〒060-0818 札幌市北区北18条西9)
2)北海道獣医師会根室支部大動物臨床部会(〒086-1105 標津郡中標津町西5条南11-5 根室地区NOSAI中標津支所内)
3)北海道大学人獣共通感染症リサーチセンター(〒060-0818 札幌市北区北20条西10)

(2006年12月26日受付・2007年5月14日受理)

要   約

 牛ウイルス性下痢病(BVD)と牛伝染性鼻気管炎の予防に効果的なワクチン接種プログラムを評価するために,BVDに対して不活化抗原を含有する2つの市販混合ワクチンをそれぞれ抗体陰性牛に接種した.いずれのワクチンも初回接種後の牛にBVDウイルスおよび牛ヘルペスウイルス1に対する中和抗体がほとんど検出されなかったが,2回目の接種1カ月後に有意な抗体応答を認めた.その後,抗体価は時間の経過とともに漸減したが,初回接種から12カ月後に1回追加免疫を行うことにより抗体価が再上昇した.以上の成績より,抗体陰性牛に対する本疾病の効果的な予防には今回評価したワクチンは2回接種する必要があること,さらに年1回の追加接種が望ましいことが明らかになった.
―キーワード:抗体応答,牛ウイルス性下痢病,牛伝染性鼻気管炎,ワクチン.

------------------------------日獣会誌 61,39〜42(2008)

 

† 連絡責任者: 喜田 宏(北海道大学大学院獣医学研究科微生物学教室)
〒060-0818 札幌市北区北18条西9
TEL 011-706-5207 FAX 011-706-5273 
E-mail : kida@vetmed.hokudai.ac.jp