政権与党公明党の「平成20年度税制改正等のヒアリング及び要請懇談会」が,平成19年11月5日,衆議院第一議員会館内第三会議室において開催され,日本獣医師政治連盟から,公明党所属の国会議員に対し,以下のとおり要請及び意見交換を行った.
1 出 席 者
公明党国会議員:
石井啓一,上田 勇,斉藤鉄夫,坂口 力,
高木美智代(以上衆議院議員),山口那津男,山下栄一(以上参議院議員)
日本獣医師政治連盟:
山根義久(委員長),中川秀樹(副委員長),大森伸男(会計責任者)
2 要請及び意見交換の内容
(1)冒頭に,山根委員長から要請内容の骨子の説明を交えて,以下の挨拶がなされた.
今日,獣医師及び動物医療は幅広い分野において国民生活の安定に供給している.今後とも獣医師及び動物医療が社会的要請に的確に応えていくためには,多様な職域に就業する獣医師について需要の動向に則した適正配置とともに,動物医療の質の確保を図る必要があるが,現状において,特に次の3点の取り組み体制を整備することが急務と考える.
- 獣医学教育課程について学部体制の再編統合により,教員数の確保,教育カリキュラムの整備などを図り,高度専門職業人養成過程として抜本的改善を図ること
- 獣医師の需給動向を踏まえた地域間,職域間の偏在の是正等獣医師の適正配置を推進するとともに,卒後臨床研修制度を元とする診療技術向上対策等を通じて社会需要に応え得る動物診療提供の質の確保を図ること
- 動物医療の高度化に対する診療技術の質の確保と,信頼性の確保を図るために,動物診療パラメディカル専門職についての資格制度を創設するとともに,原稿の動物看護師について,専門職の基盤になるものとして技術の高位平準化を図ること
(2)続いて,大森会計責任者から,別紙の要請書に基づき要請内容の説明がなされた後,以下のとおり質疑応答,意見交換がなされた.
- 「獣医師の偏在の現状はどのようになっているのか.」との質問に対し,「産業動物臨床,公務員獣医師の職域で獣医師が不足しているが,その原因として,[1]社会状況を反映して獣医学科の学生に小動物臨床志向が強い状況下にある中で,[2]職務の内容に比して処遇が十分でない,[3]産業動物臨床に関する教育体制が整備されていない等のマイナス要素が重なり,これらの分野への卒業生の就業を踏みとどまらせている.このような状況が改善されない限り,たとえ現状において獣医学科の学生定員を増やしたとしても,偏在の解消は望めない.」旨説明された.
- 「海外での獣医需給の現状はどうか.」との質問に対し,「例えば米国でも小動物診療獣医師の数は多いが,産業動物臨床,家畜衛生,公衆衛生の現場では,獣医師は管理者としての職務に従事しているため,賃金のみでなく,職務環境が整備されている.」旨説明された.
- 「国立大学における獣医学教育の状況はどのようになっているのか.カリキュラムの見直しは行われているのか.」との質問に対し,「必要とされる教科の半分程度は非常勤の教員が対応せざるを得ない状況である.カリキュラムの抜本的な見直しを行いたくても,人的・物的資源不足の現状では思うにまかせず,個々の教員の努力には限界がある.現状を打開するためには,再編整備による獣医学部創設を図り,スケールメリットによる改善を目指す方法が最も現実的であると考える.」旨説明された.
また,「これまでに,再編整備の計画が具体化しそうな事例もあったが,国立大学の法人化の時期に重なって大学の都合が優先された結果,農学部の目玉である獣医学科を手放すことについての各校の抵抗が大きく不調に終わった.実現のためには,文部科学省の強力な指導,再編整備の対象となる大学への奨励的な助成措置等が必要であると考えている.」との獣医師政治連盟としての主張が述べられた.
最後に,公明党側から,「本日は,獣医師を巡る状況について,非常に有意義なお話を伺った.今後も日本獣医師会と連携を図りながら,要望に添えるようがんばりたい.」との挨拶が行われ,閉会された.
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