|
タリウム中毒による野鳥の死亡例 |
安田正明1)† 斉藤勝美2) 世良耕一郎3) 小林貴司2) 加沢敏明4)
小林政樹5) 小川秀治1) 柿野 淳1)
1)秋田県中央家畜保健衛生所(〒011-0904 秋田市寺内蛭根1-15-5) 2)秋田県健康環境センター(〒010-0874 秋田市千秋久保田町6-6) 3)岩手医科大学サイクロトロンセンター(〒020-0173 岩手郡滝沢村滝沢字留が森348-58) 4)秋田県生活環境文化部(〒010-8570 秋田市山王4-1-1) 5)秋田県南部家畜保健衛生所(〒014-0011 大仙市富士見町6-55) |
要 約
2006年3月,89羽の死亡した野鳥が大潟村で発見された.うち88羽が渡り鳥であるミヤマガラスであった.調査により地域の農地において硫酸タリウムあるいはリン化亜鉛を成分とする殺鼠剤の使用が確認されたことから,病因学的および病理学的検査に加えて,臓器組織(肺,筋胃内容,腸,肝および腎)の元素分析を行った.分析の結果,3羽の各臓器組織からタリウムが56〜365μg/g
dry weightの高濃度で検出された.また,病理組織学的には肝細胞の空胞変性と腎尿細管上皮の顆粒状あるいは滴状変性を認めた.以上のことから,今回の野鳥の大量死はタリウム中毒によるものと考えられた.
|