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原 著

犬等の輸出入検疫規則に定められた注射法による
国内狂犬病不活化ワクチンの犬における
有効性と安全性

江副伸介1)†  大森崇司2)  草薙公一2)  安田博美3)  山中盛正3)
西條加須江4)  瀧川義康4)  天野健一5)

1)(財) 化学及血清療法研究所 菊池研究所(〒869-1298 菊池市旭志川辺1314-1)
2)日生研(株) (〒198-0024 青梅市新町9-2221-1)
3)(株) 微生物化学研究所(〒611-0041 宇治市槇島町24-16)
4)(社) 北里研究所(〒364-0026 北本市荒井6-111)
5)松研薬品工業(株) (〒184-0003 小金井市緑町5-19-21)

(2006年11月20日受付・2007年3月23日受理)

要   約

 「犬等の輸出入検疫規則」に定められた2回注射法による国内の動物用狂犬病不活化ワクチンの犬における有効性と安全性を調べた.NIH法で測定した本ワクチンの抗原力価は1.7〜6.2IU/mlであり,OIEの推奨する1.0IU/mlの基準を上回った.蛍光抗体ウイルス中和試験法で測定した抗体価(FAVN抗体価)と中和抗体価とは高い相関(r=0.927)を示し,検疫規則で有効とされるFAVN抗体価の0.5IU/mlは,中和抗体価で25倍に相当した.1カ月間隔で2回注射後1カ月目の中和抗体価は1,655倍であり,その後1年目の中和抗体価も176倍と有効抗体価を維持した.1年間隔で2回注射後1カ月目の中和抗体価も3,096倍と高かった.なお,犬に5用量を1回および10用量を3回注射しても異常は認められず,検疫規則に定められた2回注射法は犬に有効かつ安全であると考えられた.
―キーワード:犬,FAVN法,中和試験法,NIH法,狂犬病ワクチン.

------------------------------日獣会誌 60,873〜878(2007)

 

† 連絡責任者: 江副伸介((財) 化学及血清療法研究所菊池研究所第二製造部動物臨床検査室)
〒869-1298 菊池市旭志川辺1314-1
TEL 0968-37-4092 FAX 0968-37-4091 
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