要 約
Cryptosporidium sp.(Cr)感染F嚢洗浄液の初生雛への点眼接種実験を行い,鶏の結膜Cr症について検討した.Crオーシスト点眼接種実験として糞便由来オーシスト点眼接種群(I 群),Cr感染F嚢洗浄液点眼接種実験群用として糞便由来オーシスト経口接種群(A群),Cr感染F嚢洗浄液点眼接種群(B群)および未接種対照群(C群)を設定した.A群を14日齢時,I ,B,C群を4,7,10,14および21日齢時に剖検し,病理組織学的に検索した.結膜寄生はI 群では10日齢から,B群では4日齢から全例で認められ,結膜Cr症が再現された.Cr寄生は,眼瞼結膜から角膜に連続する重層円柱上皮細胞からなる眼球結膜にまで及んでいた.糞便由来オーシストを含まないB群において,I 群よりも迅速にCr寄生が成立したことから,結膜Cr症には自家感染性を有するスポロゾイトおよびメロゾイトが重要であると推測された.
―キーワード:自家感染,結膜クリプトスポリジウム症,点眼接種,オーシスト.
------------------------------日獣会誌 60,858〜862(2007) |
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