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会議報告

獣医師需給対策等に係る関係者懇談会の概要

 先に農林水産省においては,今後における獣医療施策展開の基礎資料とするとして獣医師需給に関する報告書のとりまとめがなされたところであるが(本誌第60巻第7号469〜471頁参照),これを機会に,初の試みとして本会がこれまで関係省庁に要請してきた獣医師及び動物医療施策に関する関係省庁の担当課(室)長一同に会しての関係省庁との関係者懇談会を開催した.会議の内容等は以下のとおりである.

獣医師需給対策等に係る関係者懇談会
I 日 時:
平成19年9月18日(火)13:30〜16:00

II 場 所:
ホテルフロラシオン青山 3階「クレール」

III 出席者:
1 関係省庁
(1)農林水産省
消費・安全局:
  境 政人(畜水産安全管理課長)
  姫田 尚(動物衛生課長)
  新川俊一(畜水産安全管理課課長補佐)
  三上稚夫(畜水産安全管理課課長補佐)
  山本 実(動物衛生課国内防疫調整官)
経 営 局:
  下保暢彦(保険監理官)
  平山雅道(保険管監理官補佐)
(2)厚生労働省
医薬食品局:
  加地祥文(食品安全部監視安全課長)
  宮川昭二(食品安全部監視安全課課長補佐)
  健 康 局:大森豊緑(結核感染症課感染症情報管理官)
  梅田浩史(結核感染症課課長補佐)
(3)文部科学省
高等教育局:
  藤原章夫(専門教育課長)
  徳岡公人(専門教育課課長補佐)
  山内 勝(専門教育課係長)
(4)環 境 省
自然環境局:
  植田明浩(総務課動物愛護管理室長)
  水谷知生(野生生物課外来生物対策室長)
  松岡隆介(総務課動物愛護管理室長補佐)
  吉村 統(総務課動物愛護管理室専門員)
2 関 係 者
日本学術会議:唐木英明(第二部部長)
3 日本獣医師会
山根義久(会 長)
中川秀樹(副会長)
大森伸男(専務理事)
酒井健夫(理 事)
近藤信雄(理 事)
細井戸大成(理 事)
横尾 彰(理 事)
戸谷孝治(理 事)
森田邦雄(理 事)
北村直人(顧 問)
IV 議 事:
【協議事項】
1 獣医師及び動物医療をめぐる課題と対応の方向
(1)獣医師需給
ア 現状と課題
(ア)大学の入学定員
・需給政策と計画的な人材の養成の必要性
(イ)獣医師の需給
・獣医師に対する社会的要請を受け就業の職域は多様化
・動物診療に対する需要,診療対象動物(家畜,家庭動物など)の飼育動向,飼育者の人口動態(少子・高齢化など),診療の効率化の進展など
・獣医師総数と特定職域偏在の関係
・農林水産省獣医師の需給に関する検討会報告
イ 対応の方向
(ア)入学定員枠
・需給政策の関係に加え大学教育の質の改善・確保の関係に配慮
(イ)獣医師の需給対策
a 獣医療基本計画制度における需給対策(不足部門への職域誘導)の推進
・卒後・卒前臨床研修の受け入れ環境整備による大学と職域間の事前紹介・受け入れネットワークの導入
・産業動物診療獣医師就業修学資金給付制度の拡充・整備
・大学における特定職域・地域就学優先入学枠の導入
b 獣医学教育,特に産業動物臨床及び家畜衛生・公衆衛生等の実学応用獣医学分野の教育体制の整備
(ウ)獣医師の処遇の改善と家畜共済制度の整備・充実
a 公務員獣医師(獣医師専門職)及び産業動物診療獣医師
b 産業動物診療の基盤となる家畜共済制度の整備・充実と運営の改善
・診療需要に対応した制度の拡充・整備(加入推進による制度の安定)
・診療提供技術の適正評価と技術水準の確保
・廃用認定家畜の処置についての関係行政機関との連携の確保
(2)獣医学教育の整備・充実
ア 現状と課題
・教育年限延長から30年経過.獣医学教育体制の整備は積年の課題
・「獣医学教育の改善目標」にいまだ程遠い実情
1大学(学生定員60人につき,教員数72人,うち18人以上の教授).学部体制への再編
・(財)大学基準協会,獣医学教育のあり方懇談会,国立大学農学系部長会議,文部科学省国立大学における獣医学教育に関する協議会
イ 対応の方向
(ア)学部体制への整備
・国立大学法人10大学:学科規模のスケールメリットを活かし学部体制に再編整備.再編統合の政策的支援として奨励助成措置
・公立・私立6大学:入学定員に応じた教員数の確保と施設整備による単独学部としての整備.私学助成の拡充
(イ)獣医学教育に対する外部評価
・大学の質の保証システムの一貫として獣医学専門分野の第三者評価(外部評価)の立ち上げ
・改善の取り組みの検証結果を受けての文部科学省による更なる検討の必要性(国立大学における獣医学教育に関する協議会)
(3)動物医療提供体制の整備
ア 家畜衛生分野
(ア)家畜保健衛生所の組織及び機能の整備・充実
(イ)家畜伝染病予防対策等の家畜衛生対策推進における都道府県と公益法人獣医師会との連携の推進
(ウ)家畜保健衛生業務(生産衛生情報)と食肉衛生検査業務(生産物衛生情報)の連携の推進(共有化)によるGAP(HACCP)対応・生産農場管理獣医師制の支援
イ 食品衛生等公衆衛生分野
(ア)と畜検査業務における獣医師専門職の役割と立場
・専門職としての役割(職域確保)と公務員獣医師の確保難
・公益法人獣医師会の果たす役割と業務委託・再任用の実効確保に当たっての職域環境の整備の必要性
(イ)公衆衛生確保の観点からの共通感染症対策第一線機関としての動物愛護管理センターの位置付けと機能の整備
(ウ)狂犬病対策の点検・整備,共通感染症対策における自治体と公益法人獣医師会との連携の一層の推進
ウ 小動物医療分野
(ア)獣医師法が求める卒後臨床研修制度の実効の確保(実施率5%程度)
(イ)獣医療基本計画制度における取り組みの強化
・高度専門医療(二次・紹介医療)と一次診療との機能分担体制
・夜間・休日等の救急診療体制
・獣医師専門医制の育成(質の確保と統一的認定)
(ウ)現行の動物看護士(師)の全国統一的運営による高位平準化と動物医療パラメディカル専門職(動物診療補助専門職)の資格(免許)制度の導入
・診療技術の高度化・多様化の要請を受け,動物診療提供における機能分担(診療と診療に附帯する高度検査・診断業務と診療の補助的専門業務)の必要性
・診療の外となる現状の動物看護師(士)業務の高位・平準化の必要性2万人,80養成施設,5民間認定団体
エ 動物愛護・管理,外来種・野生動物対策等の環境省関連分野
(ア)動物愛護管理基本計画制度の円滑な推進
・所有者責任原則(動物取扱業の適性確保,家庭動物に対する所有者明示措置の促進など)に基づく日本型動物愛護管理施策の推進
・災害時動物救護対策,野生動物救護・外来生物対策の推進と公益法人獣医師会との連携の強化
・学校獣医師制の下での学校飼育動物などの動物介在教育活動の安定的推進の検討.環境省と文部科学省の連携と指導
・都道府県・政令市における獣医師専門職(動物愛護担当職員,野生動物・外来種対策専門職)の配置の促進と人材の養成・確保
・都道府県・政令市における動物愛護推進協議会の組織化の推進と動物愛護国民運動の展開による普及・啓発対策
(イ)次期動物愛護管理法の改正に向けて
・家庭動物におけるMC個体識別・登録方式の導入(義務付け)と狂犬病予防法に基づく犬の登録業務との連動性の確保
・AIPO事業の基盤拡充への支援
・動物福祉(アニマルウェルフェア)と産業動物生産振興の関係
オ 獣医師職業倫理の徹底等
(ア)獣医師の自覚と職業倫理への自らの取り組み
・日本獣医師会獣医師倫理関係規程の周知・徹底など
(イ)獣医学教育課程における職業倫理教育の取り組み
・履修カリキュラムの整備・充実,教員の確保
(ウ)獣医師国家試験の整備・充実
・診療上必要な獣医学に関する知識・技能及び獣医師として必要な公衆衛生に関する知識及び技能
(エ)獣医事監視取り締まりの徹底,行政処分の厳格化等の行政監視機能の強化
・都道府県当局の対応整備など
【説明事項】
2 2007動物感謝デーin Tokyoの件