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原 著

動物ふれあい施設におけるEncephalitozoon cuniculi 感染
カイウサギの病理学的および血清学的研究

朴 天鎬1)  河原柚貴子1)  一山雄二郎2)  筏井宏実1)  小山田 隆1)
菊池元宏1)  小山田敏文1)†

1)北里大学獣医畜産学部(〒034-8628 十和田市東23番町35-1
2)青森県 開業(〒034-0086 十和田市西16番町18-7)

(2006年12月21日受付・2007年3月14日受理)

要   約

 青森県の動物ふれあい施設で飼育されていたカイウサギ1例が斜頸を示して死亡し,エンセファリトゾーン症と診断された.コロニー内の感染状況を調べる目的で,初発例を含む16例について病理学的および血清学的検索を実施した.病理学的検索では,Encephalitozoon cuniculiE. cuniculi)感染を伴う慢性間質性腎炎が15例,非化膿性脳脊髄炎が14例に確認された.さらに,16例中8例の肝臓および10例の腸にコクシジウム感染が認められた.酵素抗体(ELISA)法による血清学的検索では,16例中14例がE. cuniculi 抗体が陽性,2例は陰性であった.本研究により,ウサギコロニーにE. cuniculi とコクシジウムの重感染が蔓延していることと,E. cuniculi に対する高い抗体価が維持され,組織病変が形成されていても神経症状を示さない不顕性感染例が多数存在していることが示唆された.
―キーワード:Encephalitozoon cuniculi 感染症,コクシジウム感染症,脳脊髄炎,カイウサギ.

------------------------------日獣会誌 60,795〜800(2007)

 

† 連絡責任者: 小山田敏文(北里大学獣医学部獣医学科獣医病理学研究室)
〒034-8628 十和田市東23番町35-1
TEL 0176-23-4371(内線434) FAX 0176-23-8160
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