【別紙1】 |
19日獣発第148号
平成19年9月3日
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地方獣医師会会長 各位 |
社団法人 日本獣医師会
会 長 山根義久
(公印及び契印の押印は省略)
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獣医師職業倫理の徹底等について |
獣医師については,その任務の公共性から専門職業人としての高い職業倫理が求められ,一旦,獣医師としての適性を欠く行為を行った者に対しては,獣医師法の規定に基づき免許取り消しや業務停止の行政処分が科せられることとなります.
獣医師に対する行政処分については,それが実施された都度,再発の防止に向けての会員獣医師への指導とともに,獣医師の社会的信頼確保と職業倫理の一層の高揚をお願いしてきているところですが,行政処分の動向を見ると,処分数は,漸次増加傾向にあり,最近においては,獣医師業務の不適切執行に起因し獣医師道に対する重大な背反行為を犯したとして刑罰の有無を問わず処分される例も出現するに及んでおります.
このような中において,今回,熊本県下において産業動物診療獣医師による,獣医師法第18条に違反する無診察による医薬品の処方と薬事法第12条に違反する医薬品の無許可による製造販売が確認され,しかも製造販売が継続して行われ,製造に係る未承認医薬品が県内,県外を問わず販売された模様とのことが,県当局からプレスリリースされたところです.現在,県当局による事実関係の確認と食品衛生分野における影響等の調査が実施されていますが,本件が事実であるとすれば,畜産食品の安全性の確保を自らが率先して指導する専門職業人の立場にある獣医師として重大かつ深刻な背反行為であり,獣医界に対する信頼確保を大きく失墜させかねない由々しき事態でもあります.
本会においては,これまで,[1]獣医師職業倫理の高揚を図るため,獣医師道委員会の議を経て獣医師の倫理綱領としての「獣医師の誓い―95年宣言」を,更に動物臨床の行動規範としての「小動物医療の指針」及び「産業動物医療の指針」を定め,法令遵守をはじめとする業務推進に係る職業倫理意識を,また,食品衛生法に基づくポジティブリスト制度の施行を受け,産業動物委員会の議を経て畜産食品の安全性の確保を図る上で重要となる抗菌性物質製剤等の動物用要指示医薬品の適正処方・指示体制を確保するため,獣医師の診察に基づく自らの使用及び獣医師の指示に基づき使用する場合の主治の獣医師による診察・処方,指示書の交付・報告,使用の確認等に至る間の留意事項を「動物用医薬品指示書交付の手引き」として定める一方,[2]獣医師及び動物医療の適正確保については,獣医師に対する行政処分及び獣医業適正確保に係る指導強化等について(平成15年12月6日付け15日獣発第223号(以下「指導強化通知」という.))により貴会の会員獣医師に対する普及・啓発をお願いしてきているところですが,最近における獣医師による不祥事発生の報告を受け,法令遵守をはじめとする獣医師職業倫理の一層の徹底を期するため,獣医師が常に職業倫理意識を踏まえた一定の緊張感を持ち業務の適正な執行に当たられるよう,特に下記の事項に十分ご配慮の上,貴会会員獣医師に対する指導を徹底願いたく宜しく対応の程お願いします.
記
- 日本獣医師会獣医師倫理関係規程集(平成19年(改訂版))に収載した「獣医師の倫理綱領」及び「動物臨床の行動規範」を会員獣医師が熟知の上,法令遵守をはじめとする獣医師職業倫理の徹底を期すること.
なお,獣医師については罰金以上の刑罰に処せられた場合のほか,獣医師道に対する重大な背反行為,獣医事に関する不正な行為があった者などについても免許取り消しや業務停止の行政処分に処せられることとなることに十分留意すること.
- 貴会において,会員獣医師に限らず獣医師又は関係者が獣医事関係法令に違反する事例の情報に接した場合は,「指導強化通知」の別添1(獣医師に対する行政処分について(平成15年12月9日付け15消安第3609号.農林水産省消費・安全局衛生管理課長通知))の記の規定に基づき,貴会の活動区域を管轄する獣医事監視取り締まり当局に対し通報の上,当局による是正指導,告発等の然るべき対応を求めること.
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