瓜実条虫Dipylidium caninumから得られた中性糖脂質の
診断分野での有用性 |
川上 泰1)† 西口侑希1) 益子顕子1) 野田亜矢子1) 梅原梓里1)
中村和生2) 内田明彦1)
1)麻布大学環境保健学部(〒229-8501 相模原市淵野辺1-17-71)
2)北里大学一般教養部(〒228-8555 相模原市北里1-15-1)
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(2006年9月26日受付・2007年2月8日受理)
要 約
条虫症の新しい診断法として,虫体に存在する糖脂質を利用する目的から,犬,猫に寄生する瓜実条虫Dipylidium caninum の糖脂質を単離・精製し,その糖鎖構造をガスクロマトグラフィー/マススペクトロメトリー(GC/MS)および薄層クロマトグラフィー(TLC)免疫染色により解析した結果,これまで多包条虫Echinococcus
multilocularis (エキノコックス)などの円葉条虫から報告があったGal1-6Gal結合を基本骨格糖鎖とするneogala系列の糖脂質であることがわかった.またneogala系列の糖脂質を有する縮小条虫Hymenolepis
diminuta を感染させたラットの血清を用いて,虫体由来糖脂質を抗原としたTLC免疫染色を行ったところ,陽性反応が認められた.このことから感染宿主の血清を用いた診断法の可能性が示唆された.
―キーワード:犬,猫,瓜実条虫,糖脂質,診断.
------------------------------日獣会誌 60,719〜723(2007) |
† 連絡責任者: |
川上 泰(麻布大学環境保健学部医動物学研究室)
〒229-8501 相模原市淵野辺1-17-71
TEL
042-754-7111 FAX 042-754-7661
E-mail:yasushi@azabu-u.ac.jp |
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