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資 料

全国食肉衛生検査所協議会病理部会研修会(第51回)
における事例報告( II )

糸 井 泰 博    渡   昭 博

全国食肉衛生検査所協議会病理部会事務局群馬県北部食肉衛生検査所
(〒377-0027 渋川市金井2842-33)

Proceedings of the Slide-Seminar held by the National Meat Inspection Office
Conference Study Group(51th)Part II

Yasuhiro ITOI, Akihiro WATARI
Hokubu Meat Inspection Office of Gunma Prefecture, 2842-33 Kanai, Shibukawashi, 377-0027, Japan

(2006年6月8日受付・2006年12月1日受理)

14 豚の腹腔内腫瘤
〔吉田亜希子(豊橋市)〕
 症例:豚(雑種),雌,約1歳.
 臨床的事項:股関節脱臼により起立不能の状態であった.
 肉眼所見:右腎臓後方に腫瘤(10×8×7cm)があり,表面は乳白色の厚い結合組織に覆われ,右腎の腎門部と結合組織で連絡していた.弾力性があり,割面は膨隆,出血を認め,結合組織により不規則,分葉状に区画され,中心部は灰白色を呈していた.また,右腎臓後端内側に腫瘤による圧迫痕を認めた.
 組織所見:腫瘤は腫瘍細胞がび漫性に増殖する肉腫様組織内に,さまざまな発達段階の腺管が多数形成され,それら腺管の一部には尿細管様構造もみられた.また,糸球体様構造も認められた.肉腫様組織を形成する腫瘍細胞は比較的小型で細胞質に乏しく,類円形から多形性のある大小不同の核を有し,異型性が認められた.腺管を構成する腫瘍細胞は一層から数層に配列し,細胞質に富み,大型で淡明な類円形の核を有していた.いずれの腫瘍細胞にも核分裂像を認めた.
 診断名:腎芽腫(上皮型)

 

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※詳しくは日本獣医師会雑誌Vol.60 No.9をご覧下さい。
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† 連絡責任者: 渡 昭博(群馬県食肉衛生検査所)
〒370-1103 佐波郡玉村町大字樋越305-7
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