僧帽弁閉鎖不全の犬における塩酸テモカプリル
長期投与の安全性 |
北川 均1)† 大場恵典1) 前田貞俊1) 加藤晶子1) 高須正規2)
西飯直仁2) オッカー・ソー2) 寺本圭志2)
1)岐阜大学応用生物科学部(〒501-1193 岐阜市柳戸1-1)
2)岐阜大学大学院連合獣医学研究科(〒501-1193 岐阜市柳戸1-1)
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(2006年11月1日受付・2007年2月7日受理)
要 約
アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤である塩酸テモカプリルを僧帽弁閉鎖不全の犬30例に3〜26カ月投与し,症状と血液検査成績の変化を検討した.試験犬は投与方法(単独または併用)と症状(NYHA分類)から単独群(14例),併用チ群(11例)および併用ツ群(5例)に分類した.症状は試験中に徐々に進行した.RBC,WBC数,ALT,ALP活性,NaおよびCl濃度は変化しなかった.K濃度はスピロノラクトン併用例,フロセミド併用例を含めて正常値で推移した.単独群と併用チ群の一部でBUN濃度が軽度に上昇したが,クレアチニン(CRE)濃度は正常であった.併用ツ群ではBUNとCRE濃度が上昇した.テモカプリルは僧帽弁閉鎖不全の犬に長期間投与しても問題がないことが確認された.
―キーワード:アンジオテンシン変換酵素阻害剤,犬,僧帽弁閉鎖不全,塩酸テモカプリル.
------------------------------日獣会誌 60,655〜661(2007) |
† 連絡責任者: |
北川 均(岐阜大学応用生物科学部獣医内科学分野)
〒501-1193 岐阜市柳戸1-1
TEL
058-293-2950,2962 FAX 058-293-2964
E-mail : hkitagaw@gifu-u.ac.jp |
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