要 約
斃死を伴う2〜3週齢肉用鶏での鶏アデノウイルス(FAV)血清型1による筋胃びらんの発生事例に遭遇した.農場の4鶏舎のうち,1鶏舎のみで発生した.死亡雛の剖検において,筋胃内重度出血が全例に認められた.血清疫学調査から,周辺農場でのFAVによる汚染率は遠隔農場でのそれより高いことが確認された.当該事例から分離されたFAV血清型1および食鳥処理場材料から分離されたFAV血清型1を用い,移行抗体保有肉用鶏雛での実験感染を試みたところ,移行抗体の高低に関わらず,両FAV感染による筋胃びらんが再現され,両株とも同程度の病原性を示した.臨床的に気付かれない,若齢でのFAV感染による筋胃びらんが野外で発生している可能性がある.
―キーワード:肉用鶏,鶏アデノウイルス,筋胃びらん,若齢雛.
------------------------------日獣会誌 60,639〜644(2007) |
† 連絡責任者: |
高瀬公三(鹿児島大学農学部獣医学科病態・予防獣医学講座獣医微生物学研究室)
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