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原 著

日高地方における子馬の下痢とくに馬ロタウイルス病と
胃十二指腸粘膜病変との関連

田原口貞生1)†  岡井和彦1)  織田康裕1)  桑野睦敏2)
上野孝範2)  谷山弘行3)

1)日高地区農業共済組合中部家畜診療所(〒059-2403 新冠郡新冠町字北星町8)
2)日本中央競馬会競走馬総合研究所(〒320-0856 宇都宮市砥上町321-4)
3)酪農学園大学獣医学部(〒069-8501 江別市文京台緑町582)

(2006年9月11日受付・2007年1月4日受理)

要   約

 子馬41頭を対象に,下痢およびその主要な原因である馬ロタウイルス(ERV)感染症と胃十二指腸粘膜病変との関係について調査した.対象症例中,ERV感染陽性子馬は58.5%を占めた.また下痢発症初期での胃十二指腸内視鏡検査により,子馬の胃の95%および十二指腸の33.3%に病変が認められた.胃における病変保有割合ならびに病変の程度とERV感染の有無とは関連が認められなかった.いっぽう,十二指腸の病変保有割合は,ERV感染陽性子馬(54.6%)が陰性子馬(10.0%)に比べ有意に高かった.以上の結果より,下痢子馬の多くが胃病変を有するが,少なくとも発症初期においてはERV感染の有無とは関係がないこと,またERV感染子馬は十二指腸病変を有することが多いことが示唆された.
} ―キーワード:下痢,十二指腸病変,子馬,胃病変,馬ロタウイルス.

------------------------------日獣会誌 60,569〜572(2007)

 

† 連絡責任者: 田原口貞生(日高地区農業共済組合中部家畜診療所)
〒059-2403 新冠郡新冠町字北星町8
TEL 0146-47-2733 FAX 0146-45-7015
E-mail : s_taharaguchi@ybb.ne.jp