会報タイトル画像


行政・獣医事

動物用医薬品副作用症例報告
(平成17年7月分)

薬事法第77条4の2に基づく動物用医薬品副作用症例報告を次のとおり掲載する.


医薬品の名称
(製造(輸入)業者名)
副作用発現動物 副作用等発現の概要及び転帰
ユーリカン5
(ジステンパー・犬アデノウイルス(2型)感染症・犬パラインフルエンザ・犬パルボウイルス感染症混合ワクチン)
メリアル・ジャパン(株)

製造番号:L98804
種類 年齢等 投与前の健康状態

疾患等
関連医薬品の投与歴等 投与量

投与法
投与
年月日
併用薬 副作用
発現
年月日 (投与後
時間)
副作用等の
種類
講じた処置 転帰
28月齢 健康 バンガード5,
狂犬病ワクチン, ユーリカン5
1ml, 皮下注射 平成17年
7月24日
プレドニゾロン
(ミタカ)7mg
筋肉内投与
平成17年
7月24日
斃死,ショック,虚脱,意識喪失,アナフィラキシー反応,アレルギー反応,嘔吐,下痢,出血性下痢.ワクチン接種1分後から嘔吐,下痢(血液含む)に引き続き虚脱,意識混濁を認めた.ステロイド及び輸液による処置後に意識回復するが,6時間後に再び意識が混濁し,8時間後に死亡を確認した. デキサメサゾン:5mg(iv),輸液(生理食塩水),アドナAC-17:注射液25mg(iv),コントラミン:1アンプル(sc),ビタミンK2:1アンプル(sc),レスミン:1mg/kg(im)ドパミン:3mg/kg/min(iv)
死亡
《企業の意見及び対応》
  • 担当獣医師:一連の有害反応は,ワクチン接種後のアナフィラキシーショック反応であると考える.過去の副作用歴を考慮して接種前にステロイド投与し,さらに,適切な処置を行ったのにもかかわらず死亡したことから,当該動物はワクチンに関するアレルギー感受性が非常に高い特殊な例と考える.
  • 企    業:獣医師の意見に同じ.今回認められたアナフィラキシーショック反応は,ワクチン接種後にまれに発現する副反応として,当該製剤の使用上の注意【対象動物に対する注意】の副反応の項に情報を記載している.しかしながら,今回のようにショック予防を目的としてステロイドの前処理を行ったにもかかわらず死亡したのは初めての報告である.担当獣医師の意見に記載の通り希有な事例であると考えるが,今後とも情報の収集に積極的に努めていく所存である.
 

家畜衛生週報(No. 2890)より