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第28回アジア獣医師会連合代表者会議及び
ワールド・ベテリナリー・デイ(台湾)への参加報告
1 は じ め に 平成19年4月28日,第28回アジア獣医師会連合(FAVA)代表者会議が台北市・台湾で開催され,日本獣医師から私と古賀俊伸事務局次長が出席した. 今回のFAVA代表者会議は,世界獣医学協会(WVA)が提唱するワールド・ベテリナリー・デイ(台湾:WVD台湾)と同時期に開催され,あわせてWVAの評議員会も開催されたため,WVA,FAVAの会長,副会長を含む役員の多くが,世界各地から台湾に集合するという国際色豊かなものとなった. なお,WVDは,WVAが獣医師の職域の多様性を社会にアピールするためのイベントを世界各地で開催することとして加盟国に提案し,2000年(平成12年)から実施されているもので,世界各地で様々な関連イベントが開催されている.日本においても,岐阜大学の有志らにより名古屋地区を中心に毎年開催されてきたが,平成19年度においては,日本獣医師会が10月7日に開催予定の獣医師に関する広報イベントを,「2007動物感謝デーin Tokyo “World Veterinary Day”」として,WVDの趣旨を踏まえて実施する予定である.
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2 第28回アジア獣医師会連合(FAVA)代表者会議 FAVA代表者会議は,台北の新興地域である信義区に建設された世界で最も高いビルである「台北101ビルディング(508m 101階建)」の54階で,4月28日午前9時30分から開催された.参加国は,日本,韓国,台湾,タイ,マレーシア,ニュージーランドの6カ国であり,会議はFAVA会長のジム・エドワーズ氏(ニュージーランド:元WVA会長)により進行された. まず,前回代表者会議(平成18年,ニュージーランドにて開催)の会議概要が確認され,各国からの状況報告がなされた.日本からは,日本における獣医事の概要(獣医学教育,獣医師の就業分野,日本獣医師会の活動等)に関する資料を提出し,本年10月に開催予定の動物感謝デーについて説明した. その後,今後のFAVAの活動について意見交換が行われ,2008年10月27〜29日タイ・バンコクで開催予定の第15回FAVA大会成功に向けての支援,インターネットを利用した情報提供,企業スポンサーの募集等を積極的に行うべきであるとされ,その具体的な方策について協議された. さらに,2010年の第16回FAVA大会開催地について協議され,日本での開催を打診されたが,現在の国内状況では開催は困難である旨回答して了承された.本件については,会員各国に立候補を呼びかけ,次回の代表者会議(2008年タイ)で決定できるよう準備することとされた. 最後に,次回大会開催国タイから,FAVA大会(バンコク)に関するプロモーションが行われ,午後4時に閉会した. |
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3 ワールド・ベテリナリー・デイ(WVD:台湾) FAVA代表者会議の同日夕刻,場所を台湾国立大学医学部のホールに移して,WVD(台湾)の開会式が行われた.開会式は,テーブル席で500人以上は収容できると思われるホールから人があふれ,ホール前のロビーにも多数の参加者が押しかけるほどの盛況であった. 式の出席者には,中華料理のコースがふるまわれ,台湾獣医師会会員獣医師と動物看護師のグループによるクラッシック演奏,台湾舞踊のアトラクション等も趣向をこらしたものであったが,海外からの参加者を驚かせたのが,李 登輝前総統と呂 秀蓮現副総統の出席であった. 李前総統は,挨拶の後登壇したWVA,FAVA役員と壇上で記念撮影をするほどの気遣いを見せ,呂副総統は,長い挨拶の中で「今は,江 世明先生(台湾獣医師会会長,WVA副会長)も私も『副』が付くポジションにいますが,いずれ『副』がとれたポジションに就任することを期待しています.」と言い添えられた. 現WVA副会長の江 世明台湾獣医師会会長は,2008年のカナダ・バンクーバーでのWVA総会における役員選挙で次期会長に立候補するものと予想していたが,台湾が国を挙げて江会長のWVA会長への就任を支援するという姿勢をWVA役員にアピールする場として,台湾獣医師会がこのイベントを企画,開催したことが伺われた. WVAには中国(本土)は加盟していない.台湾がWVAのメンバーであることが,中国が入会に踏み切れない理由の一つとなっているようであり,このような状況の中で台湾獣医師会会長がWVA会長に就任することは,台湾政府にとって政治的に大きな意味を持つのであろう. 以前,イスラエルで開催される予定であった世界獣医学大会(WVC:WVAの大会)が,「安全が確保できない.」というアラブ諸国の主張によって開催地の変更を余儀なくされたことを思い出した.日本のように国際環境が切迫していない国では「純粋な学術団体,職域団体」と理解されているWVAも,状況によっては政治的な影響力を受けざるを得ない場面があることを認識させられた. 翌4月29日には,WVD記念シンポジウムが開催され,私は「犬の心臓病の新しい内科的・外科的療法」と題する講演を行った.日本からは,私のほか,日本動物病院福祉協会石田卓夫氏,一橋大学青木人志氏(動物愛護法制)の招待講演も行われた.同日夕には,国賓を招待するゲストハウスとしても名高い円山ホテルに会場を移して,閉会のパーティーが開催された.国をも巻き込んだ一大イベントを成し遂げた充実感からか,台湾獣医師会の関係者は大いに盛り上がり,海外からの参加者と遅くまで名残を惜しんでいた.
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