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原 著

犬の実験的エンドトキシン血症における血清微量元素濃度
の変動とデキサメサゾン投与による緩和効果

土屋 亮1)†   京谷一末2)   山田隆紹1)   小林好作1)

1)麻布大学獣医学部(〒229-8501 相模原市淵野辺1-17-71)
2)和歌山県 開業(〒649-7202 橋本市高野口町伏原986)

(2006年8月21日受付・2006年11月2日受理)

要   約

 6頭のビーグル犬にエンドトキシン(Lipopolysaccharide,E. coli O128,B8由来;以下LPS)40μg/kgを静脈内投与し,その前後の血清鉄(Fe),亜鉛(Zn),銅(Cu),セレン(Se)および全血マンガン(Mn)濃度を測定した.血清FeとZn濃度はLPS投与1日後に有意に低下し,このうちFe濃度は投与3日後に反動的に増加した.血清Cu濃度はLPS投与による低下を示さず,投与2日後以降,有意に増加した.血清Se濃度は投与1日および2日後に顕著に低下した.全血Mn濃度には有意な変動を認めなかった.上記微量元素濃度の変動に対する糖質副腎皮質ホルモン剤投与の緩和効果を調べるため,3頭にデキサメサゾン2mg/kgを筋肉内注射し,その2時間後にLPSを投与した.その結果,LPS投与による上記の微量元素濃度変動は有意に緩和された.
―キーワード:犬,エンドトキシン血症,血清,微量元素.

------------------------------日獣会誌 60,510〜514(2007)

 

† 連絡責任者: 土屋 亮(麻布大学獣医学部獣医学科内科学第二研究室)
〒229-8501 相模原市淵野辺1-17-71
TEL ・FAX 042-769-1636 E-mail : tsutiyar@azabu-u.ac.jp