要 約
慢性下痢を呈した生後5カ月齢,雄,黒毛和種牛は対症療法を施されたが,病状に好転がみられず予後不良として安楽殺後剖検に付された.病理組織学的検索では,接合菌感染を伴う慢性壊死性肉芽腫性胃腸炎に加え,全身性に酵母様真菌の感染が認められた.免疫組織化学的検査では,真菌は第四胃では抗Rhizomucor抗体陽性,腎臓では抗Candida抗体陽性を示した.真菌培養では,小腸からCandida
tropicalisとAbsidia corymbifera,腎臓からC. tropicalisが分離された.以上の所見から,本症例を子牛のA.
corymbiferaとC. tropicalisの重感染症と診断した.
―キーワード:慢性下痢,黒毛和種,真菌感染症.
------------------------------日獣会誌 60,497〜500(2007) |
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小山田敏文(北里大学獣医畜産学部獣医学科獣医病理学教室)
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