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資 料

全国食肉衛生検査所協議会病理部会研修会(第50回)
における事例報告( I )

片 山 雅 一

千葉県東総食肉衛生検査所(〒289-2504 千葉県旭市ニ5908-3)

Proceedings of the Slide-Seminar Held by the National Meat Inspection Office
Conference Study Group(50th)Part I

Masakazu KATAYAMA
Chiba Tousou Meat Inspection Office, 5908-3 Ni, Asahi, 289-2504, Japan

(2005年6月23日受付・2006年12月1日受理)

 全国食肉衛生検査所協議会病理部会が主催する第50回病理研修会が,2004年11月10,11日に麻布大学で開催された.今回は29機関から29題の事例が提出され,No. 1867〜1895の29題について討議された.No. 1891,No. 1894については再検討となり結論が持ち越された.以下にこれら27事例の概要を述べる.診断名の括弧書は疾病診断であり,必要に応じ併記した.

事 例 報 告
1 豚の前肢の腫瘤
〔井上克也(秋田県)〕
 症例:豚,去勢,6カ月齢.
 臨床的事項:一般畜として搬入され,著変を認めなかった.
 肉眼所見:左前肢内側皮下に13×10×9cmの暗赤色〜桃白色の腫瘤を認めた.腫瘤は薄い被膜で覆われ,上腕部の内側を覆うように形成され,上腕部や前腕部の筋膜と癒着していた.発生部位は癒着のため不明瞭であったが,被膜の一部は前腕筋膜張筋と連続していた.腫瘤割面は白色,髄様で膨隆し,分葉状であった.また,腫瘤中心部には壊死や出血,黄白色の砂粒状物が認められた.
 組織所見:腫瘍組織では中〜大型の多様な形の腫瘍細胞が敷石状,索状に配列していた.腫瘍細胞の核は大小不同,類円形〜紡錘形で,1〜2個の核小体を有し,クロマチンが粗のものと密なものが混在していた.細胞質は好酸性で広く,輪郭は不明瞭であった.細胞質が長く伸びているものや手鏡状の細胞も認めた.また,ときに細胞質に好酸性,PAS染色で陽性を示す顆粒を認めた.腫瘍細胞に混じて,好酸性の細胞質をもつ単核〜多核の巨細胞,マクロファージ,リンパ球や赤血球を認めた.
 診断名:横紋筋肉腫
 討議:6カ月齢であることや腫瘤が被膜を持って孤在している点で豚では珍しい症例と考えられた.

 

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※詳しくは日本獣医師会雑誌Vol.60 No.6をご覧下さい。
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† 連絡責任者: 片山雅一(千葉県東総食肉衛生検査所 細菌検査課)
〒289-2504 旭市ニ5908-3
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