犬の片眼発症原発緑内障の対側眼に対するマレイン酸
チモロール熱応答ゲル点眼液を用いた抗緑内障予防的治療 |
前原誠也† 若生晋輔 伊藤典彦 都築圭子 泉澤康晴
酪農学園大学獣医学部(〒069-8501 江別市文京台緑町582-1) |
(2006年8月21日受付・2006年11月2日受理)
要 約
片眼性の原発緑内障と診断された犬の対側眼に対して,0.25%マレイン酸チモロール熱応答ゲル点眼液(TMTG)を点眼し,抗緑内障治療の効果について検討した.無処置の非治療群(23頭)では片眼発症から24カ月以内に全頭で対側眼に緑内障が発症したが,TMTGを1日1回点眼した治療群(19頭)では片眼発症から36カ月までの対側眼緑内障発症率は53%であった.治療群の対側眼非発症率は非治療群と比較し有意に高かった(P<0.01).また,対側眼緑内障発症時期は片眼発症から非治療群で平均7.7カ月,治療群で平均18.7カ月であり,治療群は非治療群と比較し有意に長かった(P<0.01).以上のことからTMTG点眼は,片眼性の原発緑内障と診断された犬の対側眼に対する緑内障発症の予防的治療の一つとして有用であることが示唆された.
―キーワード:犬,原発緑内障,予防的抗緑内障治療,マレイン酸チモロール熱応答ゲル点眼液.
------------------------------日獣会誌 60,444〜447(2007) |
† 連絡責任者: |
前原誠也(酪農学園大学獣医学部伴侶動物医療学部門)
〒069-8501 江別市文京台緑町582-1
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