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原 著

白内障と水晶体原性ぶどう膜炎のアメリカン・コッカー・ スパニエル
に対する超音波乳化吸引術治療

織 順一1)†   児玉竜成1)   佐々木隆博1)   高瀬勝晤2)

1)大阪府 開業(〒581-0868 八尾市西山本町1-1-50)
2)北里大学獣医畜産学部(〒034-8628 十和田市東23番町35-1)

(2006年4月3日受付・2006年10月27日受理)

要   約

 水晶体原性ぶどう膜炎(LIU)および吸収性白内障(CR)の症状を示した13頭のアメリカン・コッカー・スパニエルを用いた.年齢は9カ月から5歳齢で,体重は8.5kgから12.6kgであった.それらの内で白内障眼は23眼であった.LIU眼球の平均眼内圧は11.2mmHgと低値を示し,水晶体厚低下を示したものが9眼,その内3頭で視覚の回復がみられた.白内障乳化吸引術を実施した12眼での術後2週と6週でそれぞれ100%と83.3%で視覚回復を示した.水晶体前嚢組織の病理検査結果は,表面の凹凸を示しながら水晶体上皮細胞が腫大して多層性に増殖し,水晶体線維細胞が膨化し,平滑筋アクチン陽性の筋線維芽細胞様となっていた.これらの結果からCRの進行中はLIU治療を行い1〜2カ月間手術を延期し,LIUのみの場合は薬物治療後,早期の手術実施がすすめられる.
―キーワード:アメリカン・コッカー・スパニエル,吸収性白内障,水晶体原性ぶどう膜炎,白内障超音波乳化吸引術.

------------------------------日獣会誌 60,439〜443(2007)

 

† 連絡責任者: 織 順一(おり動物病院)
〒581-0868 八尾市西山本町1-1-50
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