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短 報

妊娠末期の乳牛における1,25-dihydroxyvitamin D3
腟粘膜吸収

大倉徳太1),3)†  山岸則夫2)  内藤善久2)  村中 完1)
佐藤 繁2)  小岩政照3)

1)上川中央農業共済組合中央家畜診療所(〒078-8208 旭川市東旭川町下兵村517)
2)岩手大学農学部(〒020-8550 盛岡市上田3-18-8)
3)酪農学園大学獣医学部(〒069-8501 江別市文京台緑町582)

(2006年7月31日受付・2006年10月25日受理)

要   約

 妊娠末期のホルスタイン種乳牛17頭を無作為に対照群5頭と投与群12頭の2群に分けた.対照群には溶媒(20%エタノール)のみ6mlを,投与群には体重当たり0.125μg/kgの1,25-dihydroxyvitamin D3[1,25(OH)2D3]を妊娠275日目に腟内投与し,その後の血漿中1,25(OH)2D3と無機物濃度の推移を調べた.投与群の血漿中1,25(OH)2D3濃度は,投与前52.3±25.0pg/mlから投与後2時間に1453.5±590.0pg/mlとピークに達した.血漿中カルシウム(Ca)濃度は9.4±0.4mg/dlから10.2±0.3mg/dl,血漿中無機リン(iP)濃度は5.4±0.6mg/dlから6.3±0.9mg/dlと投与前に比べ投与後12時間にそれぞれ有意に増加した.以上より,妊娠末期乳牛の腟粘膜から1,25(OH)2D3の吸収と腸管からCaおよびiP吸収の増進効果が確認され,この腟内投与が分娩性低Ca血症の予防に利用できることが示唆された.
―キーワード:分娩性低カルシウム血症,腟内投与,1,25-dihydroxyvitamin D3

------------------------------日獣会誌 60,430〜433(2007)

 

† 連絡責任者: 大倉徳太(上川中央農業共済組合中央家畜診療所)
〒078-8208 旭川市東旭川町下兵村517
TEL 0166-36-2313 FAX 0166-36-2413 
E-mail : n-ohkura@mvg.biglobe.ne.jp