【別 添】
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18消安第14023号
平成19年3月19日 |
都道府県畜産主務部長 殿 |
農林水産省消費・安全局
畜水産安全管理課長
農林水産省生産局
畜産部畜産振興課長 |
輸入乾牧草の飼料利用について |
エンドファイト毒素による中毒の原因と考えられるライグラス及びフェスク類の採種後の残かん(以下「ライグラス等ストロー」という.)の飼料利用については,従来から,使用者への注意喚起及び指導並びに中毒事例の報告の協力を依頼してきたところですが,近年,米国産ライグラス等ストローの使用が原因と疑われる中毒事例の報告が増加傾向にあり,飼料利用に当たっては一層の注意が必要となってきています.
また,農林水産省が実施した先端技術を活用した農林水産研究高度化事業「エンドファイト毒素の牛への影響及び畜産物残留性の検討」(平成17〜19年度)の中間報告では,エンドファイト毒素の濃度が比較的低い場合であっても,長期間連続給与すると中毒症状を呈する可能性があることが示唆されているところです.
このため,ライグラス等ストローを使用する場合は,必ず他の乾牧草を併せて給与し,牛の毒素摂取量を減少させる必要がありますので,使用者に対し,自給飼料の増産や稲わらの収集等により複数の種類の粗飼料を使用するよう,指導をお願いします.
なお,農林水産省では,エンドファイト毒素による中毒については,知見が十分に蓄積されていないことから,引き続き科学的情報を収集し,必要な情報を提供していく予定です.貴機関におかれましても,これまでと同様に,中毒例が確認された場合には,その概要を畜水産安全管理課まで報告していただくようお顧いします. |
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(参 考) |
エンドファイト感染乾牧草の概要 |
○エンドファイト感染乾牧草と毒素
米国で芝用品種のペレニアルライグラス及びトールフェスク等の種子を生産した後に発生する残かん(ストロー)が我が国に輸入され,飼料として用いられている.これらのうち,エンドファイト(内生菌)に感染している品種は害虫への抵抗性が高く,米国オレゴン州等の種子生産農家ではエンドファイト感染率の高い品種を栽培する傾向にあるが,エンドファイトが産生する毒素(ロリトレムB及びエルゴバリン)により,残かんを食べた家畜が中毒を引き起こすことが知られている.
飼料中のエンドファイト毒素濃度と中毒症状発現との関連について,エルゴバリンでは500〜825ppb程度(全給与飼料中の濃度相当)で,ロリトレムBでは1800〜2000ppb程度(全給与飼料中の濃度相当)で発現するとオレゴン州立大学が報告しているが,さらに低い濃度でも発現が認められるとの報告もある. |
○ライグラスストローについて
主な輸入ライグラスストローには,ペレニアルライグラスストローとイタリアンライグラスストローがあるが,国内では区別されずに「ライグラスストロー」あるいは「イタリアンストロー」として流通している事例が多い.これらのうち,ペレニアルライグラス由来のストローはロリトレムB及びエルゴバリンを生産するエンドファイト,Neotyphodium
lolii に感染している可能性が高いため,飼料利用の際には注意が必要である.一方,イタリアンライグラスに感染するエンドファイト,N. occultans からはこれらの毒素は検出されないとの報告があり,感染植物由来ストローの給与によって,エンドファイト毒素中毒が発現する可能性は低い.
エンドファイト毒素の毒性やライグラスストローの鑑別方法などの詳細情報は,次の機関のホームページから入手可能である. |
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(独) 農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所 安全性研究チームのエンドファイト毒素のページ (http://niah.naro.affrc.go.jp/disease/poisoning/endophyte.html)
(独) 肥飼料検査所の飼料のモニタリング検査結果のページ (http://www.ffis.go.jp/) |