【別 紙】
平成18年度地区獣医師会連合会会長会議における主な意見
1 公益法人制度改革関係
(1)基本的事項
ア 現状では,制度改革の全体像が明らかにされていない.地方会が公益認定を目指すのか,一般法人に止まるのかは,それぞれのメリット,デメリットを視野に入れた検討が必要だ.
イ 一般人から獣医師会は物としての動物相手の団体とみられている.地方会での議論を重ねたが,動物医療の公益性の位置づけからも公益認定を目指すという結論となった.
ウ 公益性の認定は,公益認定法において基本原則が定められたが,政府令や運用方針等の詳細が示されてはいない.また,公益性の認定作業は,中央団体は内閣府の認定委員会が一括して,都道府県団体は各都道府県に設置される認定委員会がそれぞれ対応することとなり,一律ということにはならない.関係法の施行までの今後2年間の中で,法に基づく細部の運営が決定されていくこととなるが,この2年間の中でこれから示される諸条件の内容を十分に咀嚼した上で獣医師会としての対応を詰めていく必要がある.
なお,日本獣医師会と地方会との関係等についての議論については,今後,職域総合部会の委員会の場でまず意見交換と検討を進めることから開始する.当面は,環境整備の前段階として,19年度から獣医師会の運営については,現行の公益法人指導監督基準への完全適合と新公益法人会計基準への速やかな移行が必要となる.
(2)個別事項
ア 地方会においては,開業会員と勤務会員とでは,会員として同一権利を有する中で会費の額が異なる.新制度の下での会員の権利と会費水準の同一性との関係をどのように理解しておく必要があるか.
イ 現行の公益法人指導監督基準においては,理事の同業者の占める割合2分の1以下とされているが,新制度の公益法人認定基準における理事者の構成基準との関係はどのように理解しておく必要があるのか.
ウ 公益法人認定法が規定する「遊休財産」の概念,その範囲をどのように理解しておく必要があるのか,特に現在,地方会が所有する会館,土地等の固定資産,また,保有する基金との関係に留意する必要がある.
2 今後の学会組織(特に地区大会・地区学会)運営関係
(1)北海道地区:地区大会の開催は毎年必要と考えるが,中には費用を費やすだけで,大会本来の目的達成を考えると疑問もある.また,地区学会については,内容の充実・活性化が必要であり,地区内の大学との連携を図り,インターネット等を活用することにより抄録作成費用や開催経費全体の削減が図られる.
(2)東北地区:学会年次大会については,日本獣医師会主導の下で,特に小動物臨床関係団体が主催する学会との合同開催に向けて努力すべきである.また,9地区の持ち回り開催をルール化して,担当地区の代表については地区に一任する方向で対応したらどうか.地区大会と地区学会については隣接地区同志の合同開催方式を定着させ,内容の充実を図るべきである.
(3)関東地区:当地区は,地区大会・学会ともに関東地区の7県,2政令市獣医師会においてセットで持ち回り開催している.ただし,東京地区については関東地区とは日本獣医師会の組織上の地区割では明確に区別されているが,毎回関東地区の大会・学会にオブザーバー参加している.また,平成19年度については東京都獣医師会が主催して関東地区・東京地区合同の地区大会・学会としての開催を計画したが,それ以降どのようにするかは課題となっている.
(4)近畿地区:当地区では地区大会は持ち回り開催としているが,地区学会については地区内の大学に開催場所を固定して,大学との連携のもとで毎年盛会に実施している.
(5)中国地区:今後,公益法人制度改革の中で,学会の組織は日本獣医師会の組織として学術活動を推進してほしい.地区学会のあり方は活性化のための方向をまず各地区で,隣接地区との合同開催の件も含め積極的に議論していく必要がある.また,地区大会については,決議要望事項のあり方,開催費用,参加者の範囲等を含め費用対効果の観点を踏まえ見直しを進める必要がある.
(6)九州地区:当地区においては,毎年持ち回りで地区大会・学会を開催しているが,毎回参加者も多く盛会である.また,地区大会については開催担当県をはじめ地区内各県から助成金の支援が確保されており,県の獣医師会活動に対する県当局の理解度が高い.
3 今後の狂犬病予防注射事業の運営関係
(1)予防対策の普及・啓発
当会では昨年のフィリピン帰国者の発症事例を受け,急遽,地方紙への意見広告掲載とパンフレットの作成・配布を行ったが,各地方会においてもそれぞれの立場で対処したらどうか.
(2)地方会による議会要請活動
日本獣医師会(日本獣医師政治連盟)から厚生労働省,獣医師問題議員連盟に対し要請が行われているが,これらの実効確保を図る見地から地方会(地方獣医師政治連盟)から各都道府県議会に働きかけ,議会意見書として内閣総理大臣,厚生労働大臣に対し要請することも重要.日本獣医師会雑誌に県議会の意見書の対応状況を掲載した.参考にしてもらいたい.
(3)事業の税法上の対応
ア 地方会によっては,これまで「事業は公益事業であるとし,税法上非課税扱いであるべき.」と主張してきたこともあり,日本獣医師会が,「事業の税法上の扱いは収益事業扱いとならざるを得ない.」と認めてしまうのは行き過ぎではないか.
イ 事業の税務は支部に任せており,地方会が関知していない例もある.また,地方会により税務上の処理が異なり,更に税務当局の考え方も統一されていない.
ウ 長い歴史の中で事業の運営形態は地方会によっても異なっているのが現状.また,事業に対する税務当局の見解も全国統一はされていないのも事実ではあるが,事業のトータルとしては税務上の収益事業扱いとならざるを得ないのも事実.ただし,地方会自体が直接的に事業全体の納税義務者に該当することとなるということとは別問題と理解する必要がある.事業の形態や地方会が事業者としてカバーする範囲,更に収支決算の計上内容によって納税の主体や課税の水準が異なるということを理解しておく必要がある.
このために,今回,事業の範囲及び収支決算の計上に関してのワークシートを提示し各地方会の事業の現状に即した対応状況をチェックしてもらうこととしたところである.
(4)人用ワクチンの供給の確保
ア 人用ワクチンは,怏サ学及血清療法研究所(以下「化血研」)が年間3万ドーズ生産しているが,現状で診療獣医師が接種を希望しても接種が 困難な事情にある.日本獣医師会から厚生労働省に対し獣医師用のワクチンの確保を働きかけてもらいたい.
イ 厚生労働省検疫所のホームページにおいて人用ワクチンの接種受け入れ可能な診療施設のリストを公表しているので,個別対応は取れる状況には なっているが,供給の絶対量確保については,日本獣医師会から直接,化血研に要請する方策も考えられる. |
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