要 約
2005年3月に岩手県内の1酪農場で成雌牛290頭中87頭(31%)が重篤な肺炎に罹患し,フリーストール舎で飼養されていた泌乳前期牛13頭を含む17頭が死亡した.4頭の死亡牛を病理学的および病原学的に検索した結果,肺にMannheimia
haemolytica抗原を伴う壊死性気管支肺炎,間質性気腫および合胞体形成が観察され,病巣部から血清型6型の同菌が分離された.また,牛RSウイルス遺伝子が鼻腔スワブから検出された.同菌あるいは同ウイルスに対する抗体価の有意な上昇が,本病流行後あるいは流行時の同居牛で認められた.得られた成績から,集合飼養施設での飼養および牛RSウイルス感染が成雌牛におけるM.
haemolyticaに起因する肺炎の集団発生に関与した可能性が示唆された.
―キーワード:牛RSウイルス,乳牛,Mannheimia haemolytica,壊死性気管支肺炎,血清型6.
------------------------------日獣会誌 60,354〜358(2007) |
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