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原 著

牛伝染性鼻気管炎罹患牛の中枢神経系における病変と
牛ヘルペスウイルス1型抗原の分布

高橋真紀1)†  清宮幸男1)  八重樫岳司1)  佐々木幸治1)  田村 貴1)
村上隆宏1)  木村久美子2)  播谷 亮2)

1)岩手県中央家畜保健衛生所(〒020-0173 岩手郡滝沢村滝沢字砂込390-5)
2)(独) 農業・食品産業技術総合研究機構動物衛生研究所(〒305-0856 つくば市観音台3-1-5)

(2006年7月26日受付・2006年10月11日受理)

要   約

 重篤な呼吸器病に罹患した1酪農場の育成雌牛3頭を病理学的および病原学的に検索した.線維素壊死性炎が鼻腔から肺に至る広範な呼吸器系粘膜に,非化膿性炎が三叉神経節,橋および延髄に観察され,好酸性核内封入体が喉頭腺にみられた.病巣内には牛ヘルペスウイルス1型(BHV-1)抗原およびヘルペスウイルス粒子が存在し,BHV-1が鼻腔スワブから分離された.脳幹部の病変は三叉神経支配核に限局していた.得られた結果から,BHV-1感染が呼吸器系および中枢神経系病変の形成に関与し,同ウイルスが三叉神経路を主要経路として脳幹部に浸入したことが示唆された.
―キーワード:牛ヘルペスウイルス1型,線維素壊死性鼻気管炎,育成雌牛,非化膿性脳炎,三叉神経路.

------------------------------日獣会誌 60,349〜353(2007)

 

† 連絡責任者: 高橋真紀(岩手県中央家畜保健衛生所)
〒020-0173 岩手郡滝沢村滝沢字砂込390-5
TEL 019-688-4111 FAX 019-688-4012 
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