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原 著

乳熱発生率の異なる2牛群における飼料中陽陰イオン差
および分娩前後の血中カルシウム濃度

佐藤 繁1)†   小門康晃2)   佐藤 淳3)   佐藤れえ子4)
山岸則夫4)   大倉徳太5)   内藤善久4)

1)宮城県農業共済組合連合会県南家畜診療センター(〒989-0731 白石市福岡深谷字桜丘前10)
2)静岡県 開業(〒430-0914 浜松市馬込町232)
3)仙台市 開業(〒984-0821 仙台市若林区中倉3-1-15)
4)岩手大学農学部(〒020-8550 盛岡市上田3-18)
5)北海道上川中央農業共済組合連合会(〒078-8208 旭川市東旭川町下兵村517)

(2006年6月21日受付・2006年8月28日受理)

要   約

 乳熱発生の多いA農場と発生のないB農場から妊娠末期のホルスタイン種乳牛各6頭(A牛群とB牛群)を抽出し,乾乳後期の飼料中陽陰イオン差(DCAD)および分娩前後の無機成分の血中濃度と尿中排泄率を比較した.DCADはA牛群が14.0mEq/100gとB牛群の23.2mEq/100gに比べて低値,分娩直後の血漿カルシウム(Ca)濃度はA牛群が平均7.63mg/dlとB牛群の8.28mg/dlに比べてわずかに低値を示した.血漿マグネシウム(Mg)濃度はA牛群がB牛群に比べて低値で推移した.尿Caおよび無機リン排泄率は両牛群で差異がなかったが,A牛群はB牛群に比べて尿Mg排泄率が分娩前3日に低値を示し,尿pHは分娩前4日にA牛群がB牛群より有意に低くかった.以上のことから,乳熱予防では乾乳期飼料中のCa含量などDCAD以外の要因も考慮する必要があると考えられた.
―キーワード:血中カルシウム濃度,乳牛,飼料中の陽陰イオン差(DCAD),乳熱,分娩前後.

------------------------------日獣会誌 60,269〜274(2007)

 

† 連絡責任者: 佐藤 繁(宮城県農業共済組合連合会県南家畜診療センター)
〒989-0731 白石市福岡深谷字桜丘前10
TEL 0224-25-4565 FAX 0224-25-2653 
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