要 約
4歳の雌のスコティッシュ・フォールドが,1年3カ月の間続いていた室内での不適切な場所での排尿行動(スプレー行動)を主訴に来院した.稟告により,家の周りに複数の猫が出入りする環境が原因となって生じた不安が関与したマーキング行動であると診断した.飼い主は最初避妊手術を望まなかった.環境の改善と猫フェイシャルフェロモン合成剤(FFP)の使用により,スプレー行動の頻度は減少した.選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)である塩酸パロキセチンの併用を開始した後,スプレー行動は消失した.休薬後もしばらく維持されていたが,発情期に入った頃に再発がみられたため,避妊手術を実施した.その後環境の改善を図ったところスプレー行動は消失し,投薬なしに良好に経過している.
―キーワード:雌猫,SSRI,スプレー行動.
------------------------------日獣会誌 60,216〜218(2007) |
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