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黒毛和種子牛に発生した遺伝性内水頭症の 染色体領域の解明 |
1)岩手県農業研究センター畜産研究所(〒020-0173 岩手郡滝沢村滝沢字砂込737-1) 2)(独) 農業・生物系特定産業技術研究機構畜産草地研究所(〒305-0901 つくば市池の台2) 3)(独) 農業・食品産業技術総合研究機構東北農業研究センター(〒020-0198 盛岡市下厨川字赤平4) 4)(社) 畜産技術協会附属動物遺伝研究所(〒961-8061 西白河郡西郷村大字小田倉字小田倉原1) |
要 約
特定系統の黒毛和種種雄牛を共通の父とする内水頭症を分娩した母牛と父牛はきょうだい関係にあった.原因究明のためその母牛に過剰排卵処理を施し,同一の父牛の精液を交配して胚を回収した.胚移植により得られた10例の産子のうち,雌雄各2例は出生直後から起立不能,吸乳不能等の症状を示し,雌1例は29日齢で痙攣,運動失調等の異常を示した.共通の剖検所見は,脳脊髄液の増量による側脳室の拡張と大脳実質の萎縮を伴った内水頭症であった.病原検索から細菌やウイルスの関与は否定された.これら全きょうだいおよび過去に発生した半きょうだい材料を用いてDNA連鎖解析を行い,3番染色体のセントロメア近傍にホモ化した共通領域をみいだし,マーカーMB101とDIK069を用いることで診断が可能となった.遺伝様式の解析により,本症は単一常染色体劣性遺伝様式と判定された.
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